無電解ニッケルメッキ Ni-P

無電解メッキは化学メッキともよばれ、文字どおり電源を用いることなく、化学的還元作用により金属メッキをする方法です。用いる還元剤の種類によってニッケル-りん、ニッケル-ほう素、に分類されます。このうち次亜りん酸ナトリウムを還元剤とするニッケル-りんメッキの普及度が圧倒的に高く、一般に無電解ニッケルメッキと言えばこれを指します。

アメリカ、プレンナー博士らによってカニゼン法として発明され、1950年代にプロセスとして市販され初期のころはカニゼンメッキと呼ばれました。

無電解ニッケルメッキの特徴

  1. メッキ膜は一般に10%前後のりんを含むニッケル-りん合金で、電気メッキに比べてもろく、硬くなります。硬さはメッキした状態でビッカース硬さ500前後でありますが、熱処理すると3ニッケルりん化合物(Ni3P)の析出硬化を起こし、ビッカース硬さ900~1000に達します。
  2. 耐摩耗性に優れます。これも熱処理によってさらに改善されます。
  3. 電気メッキと違って、メッキ厚さの分布は均一です。
  4. メッキ膜は電気メッキに比べてピンホールが少なくなります。
  5. はんだ付けが可能です。
  6. りん含有率の多いものは非晶質、非磁性のメッキが得られます。

無電解ニッケルメッキ発注時のポイント

無電解ニッケルメッキは様々な機能特性を持ち、工業分野で広く用いられております。その皮膜を有効に利用するためには開発、設計段階からメッキ専業者との打合せが必要です。

1. 処理可能な素材

鉄及び鉄合金(ナック、STAVAX、42アロイ、コバール)、ステンレス、銅及び銅合金(真ちゅう、エコブラス)
アルファメックでは、難素材であるチタン、チタン合金へのメッキも得意としております。

2. 品物の大きさ、形状

可能な範囲:縦・横・高さの合計が5㎜~500㎜
中心的範囲:縦・横・高さの合計が20㎜~200㎜
アルファメックは精密部品のメッキ加工が主で、複雑な形状を得意としており、密着性の良い均一な皮膜をご提供いたします。

3. メッキ膜厚

可能な範囲:1μm~30μm
中心的範囲:2μm~20μm

4. 積層技術

下地に銅メッキ、光沢ニッケルメッキ、ダブルニッケルメッキが可能。アルファメックでは、無電解ニッケルメッキ上に無電解ニッケルボロンメッキ、セラミックス複合メッキ、PTFE複合メッキ、硬質クロムメッキなどの積層技術により新たな機能性皮膜のご提供致します。

りん含有率の影響

工業用途に使用される無電解ニッケルメッキのりん含有率は10%前後でありますが、浴のpHや組成によって影響を受けます。一般にりん含有率の高いメッキは耐食性にすぐれるが硬さや耐摩耗性に劣ります。反対にりん含有率の低いメッキは耐食性に劣るがメッキまま(未熱処理)の硬さは高く、耐摩耗性にすぐれます。

表. 無電解ニッケルメッキのりん含有量による皮膜の性質
メッキ物性 低りん1~4% 中りん5~8% 高りん9~12%
構造 結晶質 中間 非晶質
磁性 強磁性 中間 非磁性
耐塩水噴霧時間 24 200 1000
耐酸性
未熱処理硬さ(Hv) 650~700 550~600 500~550
耐摩耗性(TWI) 10~12 15~20 20~25
はんだ付け性

機能

近年,無電解二ッケルメッキの装飾性よりも機能性を重視する傾向は益々高まっております。無電解ニッケルメッキに求められる機能は非常に多いですが, 一般的にはメッキする品物(被メッキ物)によって必要な機能が限定されます。

表. 無電解ニッケルメッキに求められる機能
分類
機械的特性 硬さ,抗張力,疲労.クリープ強さ,靭性,柔軟性,かじり,密着性,内部応力,摩擦,離型性,接着性,精密加工性,肉盛り,耐磨耗性
化学的特性 耐食性(耐塩水噴霧,耐キャス,耐酸,耐アルカリ,耐湿,耐薬品),耐変色性,侵炭・窒化防止,洗浄性,拡散防止
電磁気的特性 導電率(比抵抗),接触抵抗,高周波特性,磁性(非磁性),電磁波遮断性
光学的特性 光選択吸収性,光反射性(反射防止性)
熱的特性 耐熱性,熱伝導性,溶接性,ろう付け性(はんだ付け性),耐熱変色性,熱膨張率

 

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