無電解ニッケルメッキ Ni-B
ニッケルにわずか0.3~1wt%のボロン(ホウ素)を共析することによって生まれる、耐摩耗性・耐食性に優れたメッキ皮膜です。ホウ素が共析するため無電解ニッケル-リンメッキとは異なる性質を示し、機能性皮膜として需要が高まっています。アルファメックでは1990年より医療機器部品、自動車部品を中心に量産を行っております。
無電解ニッケル-ボロンメッキの特徴
- 融点が1400℃と、他のニッケルメッキに比べて高くなります。
- はんだ付け性がいいのが大きな特徴であり、接点部品などによく用いられます。
- 硬度が750~800Hvであり、無電解ニッケル-リンメッキより硬い皮膜が得られます。
- メッキ厚さの分布は均一であり、無電解ニッケル-リンメッキより硬い皮膜が得られるため、硬質クロムメッキの代替としてよく用いられます。
- 摩擦係数が低く、しゅう動性に優れます。
- メッキ浴が65℃と比較的低いため、熱によるひずみをきらう部品によく用いられます。
無電解ニッケル-ボロンメッキの欠点
- メッキ浴の主成分である、還元剤ジメチルアミンボランが高価です。
- メッキの析出速度が遅く、メッキ時間がかかります。
- メッキ浴の管理に高度な技術が必要となります。
無電解ニッケル-ボロンメッキ発注時のポイント
無電解ニッケル-ボロンメッキは様々な機能特性を持ち、工業分野で広く用いられております。その皮膜を有効に利用するためには開発、設計段階からメッキ専業者との打合せが必要です。
1. 処理可能な素材
鉄及び鉄合金(ナック、STAVAX、42アロイ、コバール)、ステンレス、銅及び銅合金(真ちゅう、エコブラス)
アルファメックでは、難素材であるチタン、チタン合金へのメッキも得意としております。
2. 品物の大きさ、形状
可能な範囲:縦・横・高さの合計が5㎜~500㎜
中心的範囲:縦・横・高さの合計が20㎜~200㎜
アルファメックは精密部品のメッキ加工を主体として行っていますので、複雑な形状を得意としており、密着性の良い均一な皮膜をご提供いたします。
3. メッキ膜厚
可能な範囲:0.5μm~10μm
中心的範囲:2μm~8μm
4. 積層技術
アルファメックでは、下地に銅メッキ、電気メッキ、ダブルニッケルメッキ、無電解ニッケルメッキなどを行い、耐食性を確保し、その上に機能性皮膜である無電解ニッケルボロンメッキが可能です。
また、複雑な形状の製品に対しては、下地に無電解ニッケル-ボロンメッキを行い、その上に硬質クロムメッキを積層することにより、耐食性と硬さを持つ機能性皮膜を得ることができます。
組成 | ニッケル99Wt% ほう素1 wt% |
組織 | 微結晶 |
密度 | 8.6g/c㎡ |
溶融点 | 約1400℃ |
電気抵抗 | 5~7μΩ・㎝ |
摩擦係数 | 静摩擦0.058 動摩擦0.041 無電解ニッケル-ボロンメッキ同士 測定速度:200㎜/分 荷重:100g |
磁性 | 強磁性 |
硬度 | 750~800Hv |
はんだ付け性 | ぬれるまでの時間(メスフラスコ法)析出時1.5秒 エージング2.0秒(400℃・5分) |
メッキに関するご質問
- 無電解ニッケルメッキは食品衛生法に抵触するか分かりますか
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- 硬質クロムメッキの代替として無電解ニッケルメッキを検討している
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