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カイゼンにこだわる理由

アルファメックは、1924年に創業したメッキ屋です。私で4代目となりますが、会社を引き継ぐまでに出来ることは何だろうと考えた結果、地道なカイゼン活動がその一つだろうと思い取り組んでいます。カイゼンなんてどこでもやってるし、製造業なら当然だろうと思うかもしれませんが、奥が深いなと思えることが何度もありました。今日は、会社の紹介を含めて弊社のカイゼン活動について書いていきたいと思います。

カイゼン活動をしようと思ったきっかけ

同業他社様の工場見学に出向いた際に、そこでやられているカイゼン活動について講義形式の説明を受けた際に、「トップがしつこいぐらい徹底してやるんだと言い続けた」というお言葉を聞いて、トップにしか出来ない仕事だと思いやる決意を持ちました。

私が入社した2014年4月時点で既に何年間か「改善提案」という名前で伺いの形で行う改善活動はやっていました。年に3回行われる5S活動という全体会議でその提案を発表するのですが、一人あっても3件の提案で、何もなければその場で何かないかと社長から尋ねられて、「こんなことやりたいと思っています」とその場で回答するといった状況でした。約2年間そのやり方を傍目で見ながら現場作業に没頭して、自分自身も何か改善提案出来ないかと考えて過ごしていた中で、同業他社様からのそういった言葉で、この活動自体を変えなければ何も出来ないなと思ったのです。

改善提案ではなく改善事例へ

私がまず最初に変えたことは、改善提案と呼んでいたそれを、改善事例の発表にしたことです。それまでお伺いを立てて、却下されていた案件も、事後報告になるため一気にやり易くなるのです。こんなこと言っては申し訳ないのですが、そのころ改善提案を受けて実行するかどうか決めていた立場の社長と取締役部長は、確かに何かを変えることによる不具合に対して慎重になっていたと言えますが、逆に自分たちが改善の足かせになっていることには気づいていなかったのです。

これの効果はてきめんで、すぐさま改善件数は跳ね上がりました。これには社長も部長も驚いたようで、設備など変更によって影響が大きい物を除いて、好きにやっていいよということを言ってもらえる結果となりました。

創意とくふう誌との出会い

改善活動で検索すると上位に出てくる「創意とくふう」という月刊誌があります。色んな会社様の改善事例が写真付きで掲載されていて、マネ出来ます。また、体系化された改善の仕組みを学ぶことが出来るので、そこから得られた知識を改善活動に活かせるようになりました。

ある時、誌面に我々の会社を掲載して頂く機会を頂き、会社まで取材に訪問してもらいました。その時、「せっかく来てもらえるんだから、ありのままではなくて、今できる最大限の5S活動と改善をして見に来てもらおう。」と発破をかけて、全社パトロールを行い清掃を中心に見て貰える会社づくりをしました。

誌面にもかなりのページを割いて頂き、複数号に渡って我々の事例を掲載して頂けたことがいまだに誇りとなっています。

社内へのカイゼンマインド伝播

私は「創意とくふう」にぞっこんだったので、本も買いこんで勉強し、無料招待を受けたセミナーにも参加させて頂きました。そこで手に入れた知識を社内にどう広げていこうかと考えた時に、自分自身が教えられるプロになろうと思い、見よう見まねでプレゼン資料を作って、集合研修を1時間程度行いました。

まず、「なぜ改善するのか」をテーマにしました。

改善活動の一番のボトルネックは、心理的な抵抗です。それ自体が新たな仕事になるという勘違いや、自分が一円も得しないことをやりたくないというアレルギー反応をどうやって潰すかに心血を注ぐことにしました。

アルファメックでは、改善活動の定義を「今より働きやすくすること」としました。会社のためとか、同僚のためとか、そういった建前は捨てて、自分が得することだけを考えて活動しなさいと説明しています。

例えば、同じ仕事でも身体の負担が軽い方が良いに決まってます。そのカイゼンのために何か新しい器具が必要でお金がかかったとしても、ある程度までなら「よし」とすることにしました。巡り巡って、身体の負担が減ると作業効率が上がり会社の利益に遠からず繋がっていくのですが、そんなことを意識せずとも自分の身の回りの改善を積み重ねることだけに集中してくれと言い続けています。

これによって、半数以上の社員の気持ちが変わったと感じました。「やらされている」から「やっている」への変更が、改善事例に明らかな変化をもたらした人が増えたからです。

やり始めるとやり方を知りたくなる

次に、「伝え方」をテーマにしました。

改善活動の面白い所は、他人の真似が推奨されることです。いわゆる「横展開」ですが、1の改善が人数分、現場分の積分となって大きな波及効果を生み出すからです。

弊社では、改善事例を手間ですが必ず写真付きのビフォー・アフター形式で書類化させています。今までPCでExcelを触ったことのない人にも、1件3時間かかろうが頑張って作ってもらっています。なぜなら、その資料が横展開の教科書になるからです。

改善には沢山の「テンプレート」が存在します。例えば見える化や定置化などです。それについて勿論説明・解説するのですが、自分の身の回りに落とし込むにはやはり「横展開」が一番手っ取り早いのです。そのため、同じ会社の似たような現場の改善事例を真似する中で、「テンプレート」の存在に気付くことが「改善力」の積み重ねとなって一人一人のレベルアップにつながっていくのです。

ですから、「伝え方」に特化した教育をすることで、組織として成長する道を選びました。

道半ば

このようなカイゼン活動を始めて、5年目に差し掛かりますが、昨年は一旦改善件数が減ってしまいました。これには理由があって、一つはマンネリ化したことと、もう一つは質にこだわり始めたからだと考えられます。

マンネリ化に対しては、新しいことをどんどん仕掛けていく、経営者側のアクションが欠かせないため、私自身の忙しさにかまけた堕落として反省しています。

もう一つの質にこだわり始めたことについては喜ばしくもあり、プライドが邪魔して簡単なカイゼンから手を引き始めたのではないかと危惧しています。

改善は、量と質のどちらが大事かと言われれば、私は確実に量であると答えます。理由は、どんなちっぽけなカイゼンでも、プラスに働くためです。マイナス効果があればすぐに止めればいいだけなので、とにかく一つでも多くプラスを積み重ねたほうが、結果として質も付いてくるものだと考えています。

年間、数百件の改善が50名を下回る社員から出されています。これが、ずっと続くように、さらに増えるように精進していきたいなと思います。

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