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面白い映画を観ました『二重生活』
この映画は、Amazon Prime Videoにあったので本当にたまたま視聴したのですが、あらすじに出てくる通り、無作為に選んだ他人を尾行することで修士論文を書こうとする主人公が、越えてはいけない一線を越えてしまう、要するに尾行対象者と接触してしまうのです。これは、観る者ほとんどが予想出来てしまう展開で、それをどう捌くのかが視聴ポイントでした。
オチとしては、尾行対象者の人生を追体験することで深く感情移入してしまい、”深入り”してしまうということがこの映画の言いたかった最大のテーマだろうと私は思いました。他人の隠し事こそが、他人の持つ本質で、そこに触れる事で恐らく唯一他人を理解することが出来るのでしょうか。
同棲と尾行の違い
この映画で面白かった点は、まず主人公の門脇麦さんが菅田将暉さんと同棲をしていて、それはそれは穏やかにそれぞれの仕事に干渉せず、恋人として同じ空間に生きているわけですが、実は相手のことがよく分かってないのです。恋人で、しかも同棲しているということは、まあ言うならば恋人と夫婦の間みたいなもので、相手の名前も生い立ちも好きな食べ物も使うシャンプーの種類も履いてる下着もなんでも知れるのに、相手の考えていることが全く分からないなんて考えたらショックですよ。逆に、尾行することで相手の深淵まで理解することが出来てしまい、結果的に感情移入し過ぎてしまうという恐ろしさ。なにやら、ストーキングに通じるものがあるわけですが、相手の事を好きな余り秘密を知ろうとするのではなく、秘密を知ってしまったばかりに好きになってしまうという、いびつな恋愛感情が良かったです。
もう一点、リリーフランキーさん演じる大学教授の異常性です。そもそもこの尾行を勧めたのが彼だったのですが、末期がんの母親を安心させるために代行妻を用意して、末期にも付き添わせるという具合。しかも、尾行されてることに気付いていて食べることのない晩御飯の買い出しを目撃させておいて、最後には代行妻であることを暴露し、自殺を図る(おそらく未達)のです。これを変質的と取るか、自分の理解者を求めた末の大学教授の結論と受け取るかによって、大分この作品に対する後味が変わると思います。
僕は、滅入りたいと思った時、観ることをお勧めします。
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