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映画「君の名は。」のヒットに見る日本人の変わり様

アニメーション映画の新海誠監督の「君の名は。」が宮崎駿監督のジブリ作品に次ぐ興行収入100億円越えと話題になっています。

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いくら面白くてもヒットしない映画は数多くあります。この場合、映画好きが観てその良さを口コミで広げ、それが連鎖して細く長くじわじわと流行るパターンはあっても、最初の爆発力が無いと興行収入に繋がりません。

興行収入=公開期間×公開劇場数×観客動員率

この様に考えると、ヒットさせる仕組みとして公開劇場数の多さが肝となります。なぜなら、その映画が観たいという決め打ち客と、とりあえず映画が観たいという浮遊客の存在があるからです。

この映画が公開される前と公開されてから、何度か予告編を観たのですが、よっぽどアニメや青春ドラマやSFにアレルギーが無い限り面白そうだ、観たいとなります。なるように作られていました。シン・ゴジラなどで有名になった製作委員会方式が今回採用されています。製作委員会方式とは、製作プロダクション・広告代理店・商社・出版社・レコード社・芸能事務所など様々なスポンサーがその後発生する利権を独占するために取る製作方式です。これによって、各スポンサーはリスクを回避することが出来、製作側も資金集めが容易に出来ます。全方位からノウハウを持ち寄って万全の態勢で流行らせようとするので、ヒットして当たり前なんです。

・若者に絶大な人気を誇るRAD WIMPSが挿入歌を担当し、「君の名は。」の名前でアルバムをリリース。
・神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子などメインどころに一般の俳優を置くことでアニメだけど
・配給元の東宝は、各劇場でRAD WIMPSの曲とともに予告編を流し続けた。
・新海誠という人気のあるアニメーション監督を起用した。

これで面白ければ間違いなく流行るでしょう。

ここで注目したいのは、なぜこのような大掛かりな仕掛けで、「流行らせにいった」のかです。つまり、ジブリ以外のアニメがビジネスコンテンツとして有用なものだと大人が認知したというところです。

昔、今から30年ほど前アニメと言えば子供のもので、大人でアニメが好きだと宮崎勤死刑囚の事件の影響で変態扱いされ差別されていました。だから、差別される類の趣味だと思い、子供のころ好きで観ていても成長するにつれて離れていき、アニメオタクをバカにするというのが世間の流れだったと思います。

もののけ姫などジブリ映画がヒットし出した90年代後半、アニメが市民権を得るようになり、ジブリだったら観ても変じゃないという不文律が出来上がりました。大人が観ても面白い内容のアニメが増え始め、アニメにドラマの代わりが出来るようになるまでになりました。

その流れで育った人が大人になってアニメを観ることを止めず、100億円を超えるビジネスコンテンツへと押し上げることに繋がったと考えられます。

ことはそこまで単純ではない気がしますが、宮崎勤死刑囚のイメージがかなり薄れつつあるのだということでしょうか。アニメが好きな大人の男性は小さい女の子が好き。という短絡的な決めつけが28年もかからないと薄れないということに、色々考えさせられます。

私たちがさらに歳を重ねて、ドラマをやってる時間帯にアニメが60分枠でやってたりするようになる日が来るかもしれませんね。

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