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社長・旭日双光章受章と「光」の意味 〜めっき屋として感じたこと〜

先日、父であり弊社代表取締役でもある野村重之が旭日双光章を受章いたしました。それを受けまして、大阪府鍍金工業組合の理事会の皆さまが旗振り役となってくださり、「令和七年秋の叙勲 受章感謝の宴」を帝国ホテル大阪にて開催していただきました。

顧問、相談役、理事の皆さま、高校時代の友人、そして親戚の皆さまという限られた範囲ではございましたが、温かいお祝いのお言葉を数多く頂戴いたしました。息子として、そして同じ業界に身を置く者として、心より御礼申し上げます。

当日は、僭越ながら私が閉会の言葉を務めさせていただきました。本日はその内容を、少しだけ「めっき屋らしい視点」を交えてご紹介したいと思います。ものづくりに携わる皆さまにとって、何か一つでも心に残るものがあれば幸いです。

旭日双光章は何でできているのか

皆さまは、会場に飾られていた旭日双光章をじっくりご覧になられましたでしょうか。あの勲章、何でできているかご存知でしょうか。

旭日双光章は主に銀製で作られており、中心部分や光線部分には金めっきが施されています。さらに、赤色部分には七宝(しっぽう)と呼ばれるガラス質の釉薬が焼き付けられ、白色部分にはエナメル加工が用いられています。こうして、旭日、つまり朝日が昇る様子が表現されているのです。

金属の質感、めっきの輝き、そして七宝の色彩。まさに金属加工と表面処理の粋が詰まった工芸品といっても過言ではありません。めっき屋として見ると、どうしても構造や処理方法に目がいってしまいます。

なぜ「真昼の太陽」ではなく「朝日」なのか

当日、皆さまにぜひ知っていただきたいとお伝えしたことが二つあります。

一つ目は、この意匠が真昼間に空高く昇った太陽ではなく、「朝日」であるということです。

旭日章は、昇る朝日を象徴としています。これは、日本の将来や発展を照らす光を意味するとされています。すでに頂点に達した存在ではなく、これからさらに世の中を明るく照らしていく存在であるというメッセージが込められているのです。

受章はゴールではなく、新たな責任の始まり。そう考えると、この「朝日」という意匠はとても意味深いものだと感じます。

金色と銀色の光線が示すもの

二つ目は、光線の色の意味です。

旭日双光章では、金色と銀色の光線が交互に配置されています。公式に色ごとの明確な意味が定められているわけではありませんが、私は次のように解釈いたしました。

金色は、受章者本人の功績と努力の象徴。長年積み重ねてきた挑戦や責任、その結果としての評価です。

そして銀色は、その功績を支えてきた家族、社員、業界の諸先輩方、仲間、事務局の皆さまの光。めっきで言えば、下地があってこそ上の金が美しく輝きます。銀の存在があってこそ、金の輝きが際立つのです。

表面処理の世界では、主役はあくまで「仕上がりの色」かもしれません。しかし、その裏側には必ず下地処理や支えとなる工程があります。私は、この銀色の光線に、まさにそうした支えの力を重ねました。

銀色に光り輝く皆さまと

ですから当日は、同伴して来てくれた家族には少し申し訳ないですが、「今日はこの銀色に光り輝く諸先輩方と飲みに行ってまいります」と締めくくらせていただきました。会場がどっと笑いに包まれた瞬間は、きっと一生忘れないと思います。

そして最後に、息子として一言。

「お父さん、おめでとう」

あの拍手の音が鳴り響く中、一切家族の方を向けませんでした。これが光と闇か。

ものづくりに携わる私たちへ

今回の受章を通じて改めて感じたのは、ものづくりの価値は決して一人では成り立たないということです。めっきも同じです。素材、前処理、薬品管理、設備、そして人。どれか一つ欠けても、美しい仕上がりは生まれません。

私たちの仕事は、表に出ることは少ないかもしれません。しかし、誰かの「金色」を支える「銀色」の役割を担っていると胸を張って言える仕事です。

旭日双光章の輝きを間近で見ながら、めっき屋としての誇りと責任を改めて胸に刻みました。これからも、業界の皆さまと共に、静かに、しかし確実に光を支える存在であり続けたいと思います。

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