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学生時代は不条理に曝されてこそ

高校サッカー近畿大会決勝で、高2の修学旅行と日程が重なったので出場を辞退する事態が発生したということで賛否両論が巻き起こっています。賛成意見としては、コロナ禍で中学の時から碌に学校行事が楽しめなかった子たちにとって修学旅行が無くなるのは気が気じゃないだろうというもの。反対意見としては、スポーツに本気で取り組んでいる人の気持ちを踏みにじる決断だというもの。

自分が当事者だったら受け入れられるか

高3と高1の部員、高2のレギュラー、レギュラーの彼女たちからすると一生学校のことを恨んで生きていくことでしょう。これからの人生でもっと素晴らしいことがあって忘れてしまうことが出来れば幸いですが。人間なかなか切り替えることは出来ませんから、高2のレギュラーの子たちなんて修学旅行の写真は多分眉間に皺が寄りまくっているはずです。

学校というところは組織の利益が最大化される決断をしていかなければならないので、どうしても生徒に不条理を強いる場面が出てきます。この高校のサッカー部レギュラーの構成で、高2の選手が何人いたのかは分かりませんが、高2が居なくなることで辞退しなければいけないということを考えると、高3と高1を足し合わせて10人以下、高2も全員がレギュラーではないでしょうから、仮に高2が多く10人の部員がいて、そのうち5人がレギュラーだったと仮定すれば、5人の補欠部員が試合にも出られない、修学旅行へも参加出来ないということも想定されるわけです。

さらに付け加えると、修学旅行に適用される団体割引から10名の欠員が出ることで、もしかするとキャンセル規約に抵触してしまうという金銭的な要因も絡んでいたのではないでしょうか。高2レギュラー選手は参加できないがキャンセルフィーを支払わなければならないというジレンマ。中々考えさせられます。

大人になるってつまらないなあ、みたいな

確実になんらかの精神的に詰まる部分を当事者たちは抱えてこれから生きていくことになるわけですが、それを乗り越えて「ああ、あの時そういうことだったんだ。辛かったけど仕方ないな。」と思った瞬間、大人になるという、組織の中にいる以上、全体のために我慢を強いられることがあるんだなという悟りを開いていくわけです。

さっきまで一緒になって怒りをあらわにしていた仲間が変わって行く様を目の当たりにして、「大人になるってつまらないなあ」と呟いて悔しい気持ちに拍車をかけていくのもまた青春だなと思います。

なんにしろ自分自身が学生時代、こんな不条理全てに納得が出来ず我慢できなかった人間なので、なかなか大人になれなかったなと改めて思うからです。

レギュラーに選ばれなかった時、ベンチに入れなかった時、部活の練習に参加させてもらえなかった時、大人になれる子供だったら、恐らく自分が手に入れられなかったものを得るために何を犠牲にしなければいけなかったのか反省して態度を改めるのですが、喧嘩して得することは殆どないだろうなとつくづく思います。結果的に自分はそうやって好きだった野球を辞めましたし、それから10年間ぐらいは高校野球を観るのも嫌でした。逆に言えばそれが切っ掛けで柔道を始めることになるので、人生は一本道じゃないなとも思います。

今回、決勝戦を戦って全国大会への切符を手に入れられたかもしれないという希望を閉ざされてしまった子たちが、それでもじゃあ大学に行って、社会人になってサッカーで活躍してやろうと頑張れたとすればそれはそれでかえっていい人生になる可能性はあります。なんせ、自分が歳を取ってみてその時活躍している方が幸せです。あの時光り輝いていたと振り返り過ぎると、前に進んで行けないので。

学校の事、先生の事、恨んでもいいけど腐っちゃダメですね。全く知らない人たちのことですが、頑張って欲しいです。

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