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【令和5年】半導体装置部品製造現場から見る今後の市場動向

弊社は複数の企業から半導体装置部品のメッキ加工を依頼されています。2020年5月緊急事態宣言下では会社全体の売り上げが7割減となり、リーマンショック以来最大の不景気に見舞われることを覚悟したわけですが、一転して半導体装置部品の注文は平時の1.6倍、2.0倍、最終的には3.0倍と大きく駆け上がっていくことになりました。

その背景には言わずと知れた世界的な半導体不足が大きく関わっていて、小学生でも半導体不足ならば半導体装置の需要は高まるという因果関係を容易に理解することが出来ますが、想像をはるかに上回る需要の膨らみに、中小企業としてはサイズの小さい弊社に対応出来るかと頭を悩ませることになりました。

一方で、弊社は40年以上自動車部品の製造を行っており、こちらに関して言えばコロナ禍以前の2019年ごろから受注減の兆しとして約3割減産が平常の流れとして定着しつつありました。先述の通り緊急事態宣言を受け、世間が知るところの受注量としては最大で9割減から、挽回生産を行うという情報の中でも7割減、良くて5割減の状態が約2年間続きました。ここには、半導体不足による自動車組み立てが出来ない状況が影響していて、半導体不足が解消し始めたところで、中国やベトナムのロックダウンがもろに影響し、計画通り生産できない状況が続きました。

その結果、弊社としては自動車部品の受注減に悩まされたものの、スタッフを解雇することも一時帰休を取得させることも無く、半導体装置部品の製造ラインに配置転換することが大部分の従業員に対して出来、大幅な需要増と需要減がマッチングした状態でコロナ禍をブレイクイーブンでやり過ごすことが出来ました。

2023年半導体不況の兆しは2022年12月に出ていた

平時の3倍あった需要は、突如として終焉しました。2022年12月には半導体装置部品の注文数が一気に激減し、常にビハインドしていた生産状況が追い付いた矢先に今度は生産スピードが注文スピードを上回り、メッキ加工済みの在庫が積み上がって行く状況となりました。

コロナ禍で高まった半導体需要の終焉が叫ばれるよりも早く製造装置サイドでは減産の動きが出ていたということになります。

国際情勢をどう見るか

ロシア連邦のウクライナ侵攻問題から、この度コロナ禍のような異常事態下で半導体サプライチェーンをグローバリゼーションしていることのリスクが認知されるようになり、有事の際に向け国際的には各国での半導体自給率を上げて行こうとする動きが活発化し、日本国内でも九州に大型工場立ち上げが決定されました。

こうなってくると、半導体装置の大局を見定めると、サプライチェーンの最適化よりも、サプライチェーンの分断をリスクヘッジするため、製造拠点はより多くなり、1か所ずつが中、小型化していくと予想するのが自然ではないかと思われます。

実際の所、一旦7割減まで落ちた半導体装置部品の需要は、6割減、5割減と回復基調にあるのがここ1~2ケ月の動きです。

こういった状況を踏まえ、我々は、常に生産能力を最大にシフト出来る備えをしておかなければならないと感じています。

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