生成AIを1年以上業務で使った感想と今後の展望を詳しく解説

生成AI、既に代表格のChatGPTがチャッピーの愛称で世の中に浸透しつつある昨今、まだ使用すら踏み切れていない人や、使ってみたが良さが分からない人に私なりの業務で使って来た感想と、今後どうなっていくかの展望をめっき屋の経営者として書いていきたいと思います。

みんな生成AIについて期待し過ぎである

私は経済学部卒業の文系ですから、プログラミングをしたこともなければ、生成AIの雄であるChatGPTが2022年に出てきた瞬間、飛びついたものの何も出来ず、どうせITに強い理系の人専用ツールとして便利だ便利だと言われるに過ぎないものだと、期待値と実際のギャップを埋められないフラストレーションに苛まれていたわけです。

それから2年経ち、文系の人間にも使える様になってきた段階で覚えた私が、いくら使ってみたら世界が広がると言ったところで、PC操作が覚束ない父親世代の人たちにやらせようとしたところで、自分が体験したことと同じことが起こっているに過ぎなかったのですが、だいぶ生成AIの方もITリテラシーが低い人たちにも使える様に進化してきてくれたので、世間的にも一般化したのではないかなと思います。

とは言え、2022年から使い始めた超理系のITリテラシー高すぎメンバーたちは、既に羽ばたいていらっしゃいますし、1年間使って来た文系の私ですら、ここ最近やっと使い始めたITリテラシー低めの人たちとは使いこなし度合いにかなりの差があるのも事実です。

何故なら、結局のところプロンプト（指示文）入力の質が違うからです。

よく例えられるのが、生成AIは多言語を習熟し、大学院数学の難問を解き、幅広い知識をウェブ上から瞬時に見つけ出し、自分の考えを深く深く突き詰める推論を一瞬で行うことが出来る、超有能な新人部下なのです。

言い方は乱暴ですが、指示を出す人がその新人にちゃんとした指示が出来なければ、馬鹿な答えしか返してくれないわけです。

それでも、精一杯これまでのエンジニアたちの努力の結果、馬鹿が馬鹿なりの指示を出してもこんなことを尋ねたいのかなと忖度して答えを導き出そうとしてくれるように成長した生成AIが完成しつつあるというのが現在地です。

検索するならググるから大丈夫とは言ってられない

生成AIに否定的な人は、何度か試した末に結果として今まで通り検索エンジンで調べてそこから知りたい情報を獲得した方が、正しい結果を探せるので間違えているかどうかを確かめるなどの手間やスピードを考えたら、そっちの方が良いと割り切ってしまっていて、AIを信用していないことを自慢すらして来る傾向があります。

例えば、大阪市内の有名私立中学のランキングが知りたいと思った時に、検索すると沢山の学校検索ポータルサイトが出て来て、そこに綺麗にまとめられたランキングが出て来てそれを確認できるから、AIに聞く必要はないし、ハルシネーション（嘘をつく）のリスクもないため安心と考えられると言われます。

そうではなくて、大阪市内の有名私立中学の”どんな”ランキングが知りたいか、詳細を詰めたい時に有効であるということを理解していない以上、彼ら彼女らの情報リテラシーはそこから先に進歩出来ないのです。

例えば

大阪市内の有名私立中学について以下の条件でランキングを作ってください。
・学費の高さ
・進学先のランキング
・歴史や伝統
・学生生活を充実させるスポーツなど課外授業の豊富さ
・卒業生の年収

こう問えば、それぞれの質問項目について色々なサイトを縦断的に調べてくれます。

ここで、卒業生の年収は情報源が無いため答えられないと、至極真っ当な答えが返ってきました。

それにしても、四天王寺が593年創立とは驚きましたね。

この様に、今までは自分で沢山のサイトを閲覧しなければ見つからなかった情報が、速やかに一か所で手に入るという便益があるということをもう少し理解すべきだと思います。

業務量は一旦増えてそのあと減る

生成AIを使えば、業務量を減らすことが出来るので絶対使うべきだというのは、半分正解半分間違いだと思います。

私の場合、業務量が増えすぎてパンクしました。理由は、手出し出来る仕事の範疇が広がり過ぎたせいです。

例えば、外国人からの問い合わせが来た場合、それをChatGPTにコピペして返信文を考えさせて英文にするということを即時的に出来てしまいます。

契約書が届けば、弁護士に丸投げするのではなく、中身を要約させ、法的リスクをチェックさせ、変更を依頼すべき箇所をまとめてくれるので、費用も抑えられるし自分で出来るので何度もお世話になっています。

三面図を読み込ませれば、かなりの精度で表面積を計算してくれるので、めっき屋としてはこれほど便利なツールを使わない手は無いと思います。重量の計算も同時に行ってくれます。しかも大量に一気に。

そうこうしている内に、自分が今まで出来なかった分野にも手が伸ばせた結果、仕事量は激増しました。やることが増えすぎたり、クオリティを上げられるので時間がかかったりと、仕事の面では大変助かっているのですが、忙しくなったという結果に。

ただし、これもやり方を覚えれば時短出来て行くので、最初のとっかかりだけ忙しかった印象です。

今後の生成AIについて考えられる道筋

生成AIの業界では、ベンチマークテストを繰り返してどんどん性能が向上していますが、大学院レベルの数学の問題を解ける能力が果たして市井の人々にとって、中小企業の経営者にとって必要なのかと問われると、全くその必要はなく今でも十分だと言わざるを得ません。

その代わりに、誰でも求めている回答が得られるように入り口の部分、生成AIが人の考えていることを聞き取る、汲み取る力を伸ばす方向に進んで行く方が営利的に正しい道筋だと考えています。

「では、その時まで使いこなせない人たちは待てばいいのでは」

という考えが出てくるかと思いますが、そういう人たちは今後搾取されます。

AI搭載の便利な〇〇、という製品があと数年もしないうちにどんどん登場します。

スマホ上で、ChatGPTを使って考えさせたいこと、調べたいことを工夫して打ち込む必要がないほどにカスタマイズされた、細分化された〇〇ＡＩが商品化され、そこにお金を払う仕組みが出来上がるのが目に見えています。

例えばおもちゃ。

版権をクリアした、しゃべるアンパンマンのぬいぐるみ。

おしゃべりを覚え始めた2歳3歳の我が子の話し相手にと、子育てにつかれた親御さんたちは狂ったように買いに走ると思います。しゃべるアンパンマンは、子供たちの成長を見守り、成長に合わせて喋る内容を変えてくれるだけではなく、昨日喋った会話の内容も覚えているので飽きが来ません。

大人向けには、色々なアニメのキャラクターの喋るフィギュアが登場するでしょう。

秘書ＡＩ手帳（95,000円）も大人気の商品として出てきます。

自分の予定や、行動パターンをインプットしていって、新しい仕事の予定を組んでくれます。今実装されつつあるエージェント機能を活用すれば、自動で出張のチケットやホテルの手配をしてくれます。

でもこれ、既にChatGPT上でキーボードを叩けば出来てしまうことなんです。

使用用途を絞れば売れてしまう、これが私の未来予知です。

これが、介護ロボット。子育てロボット。電話オペレータロボット。と次々に波及していき、そのカスタマイズが出来るエンジニアたちが儲け始める時代がもうその辺りまで近づいてきています。

搾取されないために、生成ＡＩを早い段階で使っておきましょう

というのが私の皆さんにお伝えしたい結論です。