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ドラマ設定に見つけた視聴者の願望

2018年秋クールのドラマは、群雄割拠と言うべきまさに大豊作のひと時であったと思っています。少し前になりますが、「逃げるは恥だが役に立つ」や「半沢直樹シリーズ」など社会現象になるドラマは出ていませんが、毎回ドラマには世相が反映されていてそこも面白いなと思います。

「黄昏流星群」は、以前このブログで紹介したこともありましたが、原作がありそこから本筋と登場人物構成をあまり変えず、各人物にそれぞれのストーリーを加え、主人公とその妻側それぞれがテーマソングを持ち、それぞれの人生を見つけるという豪華な作り方をしていました。その中で、主人公の方は自分と同じアラフィフの女性と恋に落ち、仕事に遣り甲斐を見つけ、もう一度自分の妻と向き合って、最後にまた運命の女性の元へとたどり着く原作通りのストーリーでした。一方で人からどう見られるかしか気にしない女性だった娘は、弁護士の婿をもらう予定が自分の本当の気持ちを抑えきれず、大学教授と駆け落ちしてロンドンに移住してしまいます。そうやって捨てられてしまった弁護士の婿は、主人公の妻でこちらもアラフィフの義母候補だった人に恋をしてしまい、自身の末期がんを患った母親に遠慮しながら恋愛に突き進んでいきます。

このドラマ、メインテーマは「運命の出会いは何歳で訪れるか分からない」だったと思いますが、裏テーマは「愛は歳の差を超える」だと感じました。

この弁護士の婿(20代の超イケメン)がフィアンセの家を訪ねた瞬間から既に一目ぼれしていて、危ういモーションをどんどんフィアンセの母親に仕掛けていくのです。最初は、おばさんの勘違いかしら的な風に描写されているのですが、途中からキスをしてくるわ、抱きしめてくるわで、母親としての理性を保つのがやっとのお母さんは、良い妻を演じるのに疲れたと言って浮気している旦那の為を思って風の理由をつけ、三下り半をつきつけます。ドラマでは良い雰囲気でさよならを言いお互いに再スタートを切るのですが、この若い男に走るための助走にしか見えませんでした。

別のドラマで、こちらもなかなかの名作だったのが「大恋愛~僕を忘れる君と」です。こちらは若年性アルツハイマーを患った女医と、その女医が大好きで暗記するほどの小説を書いた引越屋で働く男性が互いにひかれあって病気の合間に幸せを見つけていく病気系ドラマです。病気系ドラマは昔から様々あるのですが、記憶に新しい物で言えば「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」や「乳がん」や「白血病」を題材にしたドラマや映画を思い出す方もいれば、産婦人科を舞台にしたドラマなどを思い出す方もいらっしゃると思います。

このドラマの社会的意義は、病気について広く人々に知ってもらうことで、その病気で苦しむ患者やその家族の方々が治療しやすい環境、または病気を克服できる薬や医療技術の発展に何らかの影響を及ぼすことを期待されている点だということです。

今回「大恋愛」で見つけた作品を彩る奥行きは、TOKIOの松岡さん演じるアルツハイマーの専門医が、元婚約者でアルツハイマーを患ったヒロインのお母さん(恐らく還暦越え)と結婚するところだと思います。彩ると言うか、異彩を放っていました。女版ドン・ファンと呼ぶべきでしょうか。若い男性(といっても40歳越え)と結婚することの方がこのドラマに存在感を与えていました。

これに関してより深く話していくべきか迷うのですが、2018年現在、ドラマの視聴者層としてメインターゲットは中高年の女性で、彼女たちの願望は旦那よりもとっても若くてハンサムな男性から女性扱いされることだったのです。

今後ますます中高年の女性が恋愛するドラマが増え、若者世代が置いて行かれる日も近いなと感じました。

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