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スマホに軍配が上がり続けるSNS用カメラ
スマホのカメラでSNSへの投稿は十分と言われて久しい今日この頃。子どもの幼稚園がスマホ禁止(カメラはOK)なので、カメラを買う必要が出てきたため色々と調べていると、デジカメが売れない理由が分かってきました。(私は買いますが)
インスタ映えで高まる需要も取り切れていない模様
世の中にデジカメが生まれて、フィルムカメラが希少価値となり、スマートフォンが生まれて、徐々に売れなくなってきたカメラですが、いよいよピンチの様です。デジタル一眼カメラと呼ばれるレンズ交換式カメラや、高級コンデジと呼ばれるレンズ一体型のコンパクトデジタルカメラや、下位モデルのコンパクトデジタルカメラ、動画撮影に長けたアクションカメラなどいろいろとラインナップがあるものの、2011年からの8年間で販売台数が7割も減っているのがデジタルカメラ業界の厳しい現実です。
Instagramが日本で台頭し始めた2015年あたりからの落ち込み方は特に深刻で、インスタ映えで販売台数増えてもいいのになぜ?と思わせる状況です。
スマホで十分の真意
野球で例えると、ヒットを量産するにはより多くの打席に立つことが必要と言われています。打席数で言えば、SNSに写真をアップロードするという行為は年々増え続けているので、その中で写真に拘り、デジタル一眼カメラや高級コンデジに手を伸ばす人が増えてもおかしくないのです。しかしながら、スマートフォンメーカーの取組により、カメラ性能が向上し、「スマホで十分」と言われるようになったわけですが、実際本当にそうなんでしょうか。
ネット記事を読み比べて見ると、iPhone11proなど現在発売されている超上位機種ではその問題が現実味を帯びています。というのも、デジタル一眼カメラには得意不得意があり、その場で最適な選択をして撮影することや、後からコントラストなどを編集することを前提とした撮影シーンに対しては、スマートフォン本体がその作業を肩代わりしてくれるので、その場を切り取って即座に高品質な画像をSNSにアップロードするという要求には超上位機種のスマートフォンでは軍配が上がるわけです。
もちろんデジタル一眼カメラが完敗かと言えばそんなことは無く、例えばボケ感の演出や、解像度の差では明確な差があるので、拘れば間違いなくデジタル一眼カメラを使用することになると思います。
これはあくまでも超上位機種に限った話ではありますが、それでも汎用機の分野でも負け続けているという状況は何故なのか。これは、「その場を切り取って即座に」という部分がキーワードかなと思います。
撮影シーン
目の前にシャッターチャンスが広がった場面、スマートフォンであればポケットから出して、カメラモードにし、後はシャッターを押すだけ。ピントを合わせる、画角を合わせる、明るさを調整するなどの作業によって写真の良し悪しは変わりますが、撮影者がやらなければならない作業はかなり少ない。
一方で、デジタル一眼カメラの場合、もしカバンの中に入っていると、取り出して、レンズキャップを外し、電源を入れた後オートモードでなければマニュアルで絞り、シャッタースピード、ホワイトバランスなどを設定し、試し撮りして思った撮影が出来ると判断してから何枚か撮影し、その中からベストショットを選ぶということになります。この間にシャッターチャンスが終わっている可能性もあります。常に準備できている体勢で撮影に臨まなければならないのです。
編集シーン
スマホで撮影した写真は、Instagramでアップロードする前に、トリミングやフィルターの選択などがアプリ内で出来ます。また、写真加工アプリを使えば、輪郭や目の大きさをレタッチすることも簡単に出来るので、見栄えを盛る事も出来ます。
一方でデジタル一眼カメラですと、カメラで撮影後微調整出来ますが、その後スマートフォンに転送するか、PCに取り込んで本格的に編集するかになります。編集に時間がかかる以上にここで大きな問題が発生します。目的がSNS映えする写真を載せたいと考えた時に、高解像度の写真はデータサイズが大きすぎるのです。
iPhoneが6S以降1200万画素を上限に設定しているのに対し、デジタル一眼カメラはセンサーサイズの小さなものほど画素数が多く、5000万画素を超えるものもあります。そうなると、iPhoneで5MB程度しかない画像サイズも、デジタル一眼カメラでは倍の10MBから20MB程に達し、本体のデータ容量を圧迫するだけではなく、アップロードの際にデータ通信量を一気に消費してしまいます。
先日、DJI社のOSMO-POCKETという製品で撮影した5分の動画をスマートフォンで共有しようとしたら、1GBを超えるファイルサイズでLINEでは共有出来ず、YouTubeに一旦PCからアップロードし、限定公開でURLを送りました。しかも、せっかく4KやフルHDの高画質で撮影したものも、WEB規格にダウンサイジングしてしまうと、画質が悪く荒れてしまうので考えものです。
結局、デジタル一眼レフを始めとした高画質の撮影機器には、母艦となるPCが必要で、PCを持たない層からすると買った後困る場面が多いと想像できます。
買い替えシーン
カメラは電化製品なのでいずれ耐用年数を超えて壊れるものです。
スマートフォンの買い替えサイクルは、人によってバラバラですが1年から5年ほどと言われています。カメラよりも先に電池寿命が短くなったり、本体外側が破損したりするので、カメラの故障で買い替えることはめったにないと思います。
デジタル一眼カメラの場合、壊れるまでは撮影回数、保存環境、使用環境によって様々ですがメーカーが生産終了後部品を在庫しておく期間を過ぎると修理できなくなるため、修理を前提とした場合10年間、(型落ちで買うと販売終了後7年間)買い替えを考えるとショット数によってとなります。200ショット×500回程度が目安と言われてる方もいらっしゃいます。
しかし、レンズの場合正しく使って保管すればボディが壊れても利用し続けることが出来ます。また、その位の理由がある価格設定がされています。同じメーカーに拘り続ける理由は、このレンズという資産によって縛られた結果とも言えます。
単純に高尚な趣味の世界へ戻って行っただけ
デジタル一眼カメラが素人の手の届く存在になったのが一瞬で、プロやアマチュアマニアのための高級な機材というカテゴリーに戻っただけではと私は思います。一般の方が使いやすい形にカメラがどんどん進化して行って、買いやすいラインナップが作られ、カメラのすそ野が拡がったのは事実ですが、結果として縮小しているものの、カメラが仕事であったり趣味である人は、やはり人口の中で限られた層でしかないと言えるのです。
逆に、上記の様にデジタル一眼カメラを始めとしたデジタルカメラが、スマートフォン用カメラの牙城を崩し、再び販売台数を伸ばすためには今目の前に広がっているSNS需要は幻と捉えて別のアプローチを模索すべきでしょう。
昔から言われているレンズマウントの共通化や、レンズを売るために本体価格を下げるなどの痛みを伴った改革がまず考えられる一手でしょうか。
まとめ
- カメラとしての性能はデジタル一眼カメラが上だが、インスタ映えのためのカメラは高級スマートフォンのカメラで十分
- スマホがスマホだけで完結する一方で、デジタル一眼カメラは本格的な編集やリサイズをするためにPCが必要不可欠
- カメラはデジタルカメラ誕生以前のプロとハイアマチュアのための高尚な趣味時代に再び収束したと考えられる
- 売りたければ痛みを伴った改革がカメラメーカー各社に必要
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