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携帯キャリアのビジネスモデルに感嘆させられた話
「今の割引は、20年以上使ってきている自分にとってなんの得も無い。どの会社も新規獲得にしか力を注いでない印象。」
よく聞くユーザの声ですが、じゃあなぜ20年以上使っているのか考えてみました。
1.ナンバーポータビリティ以前
携帯キャリアを変えても電話番号を変えずに済む、ナンバーポータビリティ制度が導入される2006年10月までは、「電話番号が変わるのが嫌だからキャリアを変更できない」とよく言われていました。仕事で使っている番号だったらめちゃくちゃ変更するの大変でしたよね。
⇒キャリアを変えると電話番号も変わってしまったため
2.スマートフォン普及以前
スマートフォンが普及し始めて一番変わったことと言えば、キャリアメールを使わなくなったことでした。これはgoogleのGmailがAndroidをOSとして搭載したスマートフォンの基本アカウントとして爆発的に普及し始めたからで、ガラケー(フューチャーフォン)のキャリアメールと比較すると汎用性が高く、スマホでもPCでも環境が変わっても同じアドレスを使い続けられるメリットが生まれたことによって、キャリアメール縛りが無くなりました。
⇒キャリアを変えるとメールアドレスが変わってしまったため
3.スマートフォン黎明期
スマートフォンが日本で爆発的に流行り始めたのはiPhone3Gの登場からでした。この時、Softbankしか取り扱っていなかったので、iPhone3Gの波に乗りたい人はMNP(ナンバーポータビリティ制度)を駆使し、キャリアメールを捨てる決断をしてD社やA社からSoftbankへキャリア変更していきました。その頃でも大半がガラケーだったため、キャリアメールを捨てると変更通知をする手間がかさむ為、全世代へ爆発的にMNPが拡大することはありませんでした。
⇒連絡手段としてキャリアメールのシェアが高かったため
4.チャットアプリの台頭
iPhone3Gの流行で、元々Softbankだったユーザを中心に、スマートフォンの使いやすさが拡がり、D社やA社でもAndroidをOSとしたスマートフォンも徐々に普及し始めます。そして、iPhone同士で使えていたSMS(ショートメッセージサービス)の手軽さ(チャット画面でメッセージのやり取りが可能)がキャリアメールを使うことから遠ざけ始め、WhatsAPPなどの海外製チャットアプリが出始めると、トドメとばかりにLINEが大流行しました。
無料通話アプリLINEが最初に登場した時、既にWhatsAPPを使っていましたが、友達同士で使えなければ意味がないと私は無理矢理LINEへ移行させられました。
電話帳も、チャット記録も、何もかも端末を変えたとしても持ち運びできるようになった今、キャリアを変える足かせは無くなったのかと思えるほどです。
⇒連絡手段は電話とメールからチャットアプリへと移り、キャリア乗り換えの障壁は消えた!?
5.それでもキャリアを20年変えない理由
新規契約だと、最新機種でも驚くほど安く手に入れられるわけですが、キャリアを乗り換えるとなると、2年縛りという携帯キャリア会社の賢い人が考えた究極の防波堤があり、ほとんどの人がそこでとん挫する様に出来ています。
- 機種代金は一括でも分割でも金利が掛からず同額
- 12ヶ月、24ヶ月、48ヶ月と契約期間に応じて月々の通信料から割引で、見せかけ上端末代金が安くなる(実質と名目のレトリック)
- 本体寿命は電池寿命に依存していて、2年間で3割以上能力がダウンする上、1年ごとに新機種が発売されるため型落ち感があり実際よりも性能が落ちたと感じさせられる
- 24ヶ月の契約期間内に新機種に買い替えする場合、同一キャリア内であれば機種代の分割支払いは買い替えた新機種の分割代金に上乗せされ、割引は消滅する
- 一方でMNP(ナンバーポータビリティ制度)を利用して他社キャリアへ乗り換えると、新規割引の恩恵は受けられるが、機種代金残債の一括清算もしくはローンの継続が続き、MNP手数料が双方から請求されるため、契約期間が浅ければ浅いほど得することは少ない
- また、家族割引を適用していると、一人だけ抜けることで割引額が大きく変更されるなど影響が大きくなる可能性がある
- 10年以上契約していると、月々1000円程度の割引があり、MNPで乗り換えるとそれも無くなる
- 解約手数料が不要になるのは、契約満了月とその翌月のみで、それまで受けていた月々の割引が吹っ飛ぶレベルの金額が請求される
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