佐田 駿輝

めっき条件は、電流値と時間。
数字のわずかな違いが、製品の仕上がりを左右する世界だ。

佐田は、作業前に必ずメモ帳を開く。
条件を確認し、指差し、そして工程に入る。
地味だが、この一手間が不良を防ぐ。

入社当初は、何も分からなかった。
それでも先輩の背中を追い、一つずつ工程を覚えていった。
そして、初めて一人でめっきを完結させた日。
流れを理解した実感が、確かな達成感となった。

失敗もあった。
酸処理後の品物を空中放置してしまい、白いモヤが発生した。
原因を知り、工程を見直し、水洗を徹底する。
同じ不良は、もう出さない。

自分を一言で言えば、地道にコツコツ。
派手さはないが、確実に積み上げていく。

野球観戦が好きで、DAZNでほぼ毎試合チェックする。
コツコツ積み上げる姿勢は、画面の向こうの選手とも重なる。

新しいことに挑戦できる環境。
現場を越えて学べることが、佐田の原動力だ。

「最初は不安でした。でも、地道に続ければ必ず自信になります」
それが、現場で掴んだ実感だった。