木村 昌樹|自動機めっき作業
自動めっきラインの前に立つ姿は、もう20年以上変わらない。 ただ、そこに宿る技術と経験は、誰よりも厚く、深い。 “ラインの鼓動を読み取る男“──木村昌樹は、アルファメックの自動機ラインそのものと言える存在です。
斉藤さんとの“2号機の時代”──技術の原点
木村の技術者人生には、大きな転機となった人物がいます。 それが、元めっき屋の経営者でありアルファメックの一員だった斉藤さんです。
二人はかつて、2号機(自動機)をともに動かし、黙々と作業を重ねる日々を送りました。 特に、ダイキン工業株式会社の空調部品向けの銅めっきを“一から作り上げた”経験は、 木村にとって技術者としての礎とも言える時間でした。
厳しい元経営者の職人と、実直な若手技術者。 無言で並び立ちながら、めっき自動機と向き合ったあの頃の空気は、今でも木村の中に生きています。
自動機ラインとともに積み上げた感性
自動めっきラインは、機械のようでありながら、まるで生き物のように表情を変えます。 温度、流量、音のわずかな変化、部材の入り方…… それを感じ取り、整えることができる人は多くありません。
木村は、その変化を“目と耳で察知できる”数少ない技術者です。 長年自動機と対話してきたことで、設備の呼吸を読むような感覚が身につきました。
本人は「しゃべりながら仕事ができないタイプ」と笑いますが、 それは裏を返せば“ラインに自然と意識が向くほどの集中力”を持っているということ。 誰よりも設備と向き合ってきたからこその職人芸です。
新たに花開いた才能──現場カイゼンの推進者へ
木村は近年、もう一つの才能を開花させています。 それが“現場発信のカイゼン力”です。
めっきの自動ラインは「同じ作業の繰り返し」が本質です。 しかしその繰り返しの中にこそ、小さな改善が大きな変化を生む余地があります。 木村はそこに気づき、一つ一つの作業を見直し、改善し、仕組みに落とし込んでいきました。
長年蓄えてきたノウハウが、いまようやく“花開き始めている”状態です。 しかも社歴20年以上の大ベテランが現場からカイゼンを連発するというのは、会社として非常に頼もしい姿です。
最近では女性パート社員と作業を分担しながら、カイゼンの考え方そのものを根っこから伝えています。 木村が後輩やパート社員へ残しているものは、技術だけではなく、 アルファメックの理念そのものです。
“失敗の数だけ強くなった”職人
木村は「ほぼ全ての失敗を経験してきた」と語ります。 そして、その痛みを一つずつ“力”へ変えてきました。
めっきの世界では、膜厚不足・外観不良・設備の異常など、失敗は避けがたいもの。 しかし木村にとって失敗は終わりではなく、次工程を守るための学びの種でした。
その積み重ねが、今の“誰よりも設備を理解する男”につながっています。
達成感を感じる瞬間
改善提案が形になり、 就業時間内に無理なく作業が完了したとき。 その瞬間に感じる静かな達成感は、技術者としての誇りそのものです。
趣味・好きなもの
プロレス観戦が大好きで、特にTAJIRI選手がお気に入り。 技と緊張感がぶつかる世界が好きなのは、自動機ラインの厳しさとどこか重なるのかもしれません。
アルファメックの好きなところ
コロナ禍で会社が即座に50枚入りマスクを支給してくれたことが印象に残っているとのこと。 「社員思いの会社」だと感じられた出来事でした。
未来の後輩へ
文系出身でも大丈夫。 見て覚えろではなく、教えあって覚える職場です。 一つずつ積み重ねれば、自動機ラインは必ず味方になってくれます。

































