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電気めっき作業1級技能検定受験

電気めっき作業1級は、職業能力開発センターが行っている技能検定の1つで国家資格です。7年以上業務に従事しているか、2年以上業務に従事した上で2級を受験し合格し、さらに2年以上業務に従事した場合に受験することが出来る上級資格になります。

正直に申しますと、2級は割と簡単に取得することが出来ました。一番の鬼門とされているニッケルクロムめっきの治具づくりについては心ゆくまで練習させてもらえる設備に恵まれたこともあり、ゆとりをもって対応出来ましたし、学科試験も過去問を5年分やれば合否ラインを余裕で上回るということだったのでそこまで苦労しませんでした。

1級の壁(実技)

1級は上記の通り2級合格が基本となっているため受験者数が減るのですが、受験している人の何割かが再受験者であり、難易度の高さが伺い知れます。実際の所、2級で鬼門だったニッケルクロムの治具づくりはどちらかと言えば一度クリアしている関門なのでそこまで難しいと思っている受験者が少ない一方で、重くのしかかるのが”不調液”を正常に戻し、ハルセル板を光沢のあるニッケルめっきをつけた状態にして提出するという科目と、学科試験です。

亜鉛めっきもニッケルクロムめっきも2級と1級とでは試料の形状が変わるだけで、やっていることは殆ど何も変わりませんが、上記の2科目については信じられないほどの違いがあります。

2級では、与えられた液の酸もしくはアルカリの濃度を中和滴定して、その数値を答えるだけで終わりだったのですが、1級になると突然打って変わって、与えられたニッケルメッキ液に足りない成分を2回の滴定と1回のめっきで確認して補給し、正常なめっきがされたハルセル板を提出するという課題が出されます。

作業手順や、出てくる薬品の種類、それぞれの数値、計算式など覚えることが莫大に増えて、普段分析作業をやっていないと非常に苦労します。

1級の壁(学科)

36歳になって受ける最初の試験は技能検定1級の学科試験になりました。1級は何となく難しそうだなと思っていたのですが、過去問があって、同じ傾向で、範囲もそこまで広くないので2級同様勉強さえしっかりすれば余裕で合格できるだろうと思っていました。

自分なりに過去に色んな資格試験を受験して合格してきたので、ペーパーテストの勉強ノウハウについては自信があったのですが、過去問を繰り返し解いて、それから余った時間に過去問を解説したテキストを読み深めて実際に試験に臨んで、一瞬にして全身から汗が吹き出しました。

自信を持って答えられる問題が、少なすぎる・・・・

「過去問を5年分解いていれば、合格点は確実に取れるから」

そう聞いていたので、過去問を5年間分やっていきましたが、確実に合格できると言い切れないほど見たことのない問題が出題されていて面食らいました。

もちろん計算間違いも起こしますし、ちょっとした問題の読み間違い、勘違いなどから生まれるミスがあるので余裕をもってと考えると8割以上欲しいと思っていましたが、自己採点すると7割を少し上回る程度の低空飛行で辛くも学科試験は合格点を取れていました。(合格点は66点以上と会場で説明済み)

学科試験を勉強していて困ったこと

それは、問題演習をして間違った場合に復習するための解説などが殆ど準備されていないことです。

実は学科試験には対策講座を設けて頂いており、夜間講習会があります。

2級向けの・・・

一応、建前上は2級と1級の共通問題は7割あるので2級で満点取れると1級の合格点を上回ることになるのですが、その3割の壁がデッドクリフと呼べるほどの差がありました。

1級の学科試験過去問を解いて、間違った部分や分からなかった部分を復習しようとするのですが、まずネットでドンピシャの解説を見つけられるということはありません。

めっきという学問はニッチ過ぎて、需要が極端に少ないので供給も殆どありません。それで、過去問を解説したテキストから間違った場所の解説を探すのですが、類似問題はあるものの、ドンピシャの解答が無いことが多く、理系科目に対する基礎学力の低さが最後まで足を引っ張ります。

技能検定1級受験をして良かったと思うこと

非常にニッチな学問である、仕事であるということが分かりました。

ネット検索で全ての情報が手に入れられると思われがちですが、専門家に尋ねないと分かりにくい、色んな知識から類推しなければ答えにたどり着かないという事実は、めっき業界からすると専門知識を有しているというアドバンテージを実感させられるものでありました。

自分の立場では、アルファメックに勤めて作業を行いながら技能向上を目指す社員に対して、どの程度の知識レベルに到達しているかということが自分の肌感覚で捉えられるようになったことも一つ大きなメリットだと感じました。

一人でも多く、アルファメックや自分と関わるめっき業界の方が技能検定にチャレンジして合格できればと思います。

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