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大阪がこれからアツい

弊社が創業した大正13年は、関東大震災の翌年。この頃から約10年間、大阪は壊滅的な被害を受けた東京の代わりとなる大都市として一気に経済成長を遂げたのです。2010年から減り続ける人口とは裏腹に、大都市に人口が集中しつつある現代において、地方創成を掲げながらも将来的な日本の人口分布は、大都市に分散集中すると考えられるのではないでしょうか。

大阪市内で約100年間工場を運営して来た中で、地方を含めて人口密度の低い地域が持つ課題は、人が集まらないこととよく聞きます。メッキ業は、特殊技能を持つ職人によるメッキ処理に付帯して、治具へのセット(これを大阪ではタコ掛けと呼びます)、製品仕上り検査、梱包、出荷、実験、液管理、排水処理、 が工場の機能として絶対必要です。これに加えて、各企業では営業マンによる見積、生産管理、技術相談、購買。さらに総務、経営などの多岐にわたる仕事があります。未経験でも短期間でしっかりとした教育さえ出来れば、製品仕上り検査、梱包、出荷の業務をパートタイマー社員が行うことが出来ますが、こういった働き手を募集しても集められない地域では、職人がメッキ作業に加えてこちらも対応しなければならず、生産性を上げることが難しいのです。

大都市の利点としては、研磨やサンドブラスト処理、樹脂加工、設備保守など様々な工程を担う専門業者が点在していて、アウトソーシングが比較的容易で、地の利を生かした運搬コストの低さも手伝って複雑な工程も低コストで組むことが出来るということが挙げられます。メッキ業も金属加工業の中では特殊工程の一種として重用されておりますが、東京と大阪には他地域と比較して非常に多くの専業者が営業しております。地域性として、土地単価が高く拡張可能性は低いため、中小零細規模の業者が多いのですが、それぞれが特色を持って得意なメッキ種と形状、サイズに分類された仕事の請負を行っています。

今後日本国内において人口減少が緩やかではなく性急に進みつつある状況で、これまでの大量消費大量生産、人海戦術、価格競争を行ってのものづくりでは世界における経済大国としての日本の立ち位置が危ういと先日講演会で聞いては来ましたが、このものづくりモデルは徐々に人口密度と企業密度の低い地域から崩れて行き、大都市、特に大阪には一時的にでも昭和を思わせるような仕事量が舞い込んでくると予想しています。

大きな政策は、日本全体で語られますが、地域ごとに人口減少問題のタイムスケジュールを描いて、人や企業がどんな風に立ち振る舞うのかを予想していくことが大事だと思っています。そう考えると、遅かれ早かれ地方創成ではなく地方分権が活発化することで、江戸時代後期の様な地域ごとに特色が分かれた、小さく分割された日本が今後それぞれで経済圏を作って行くのではないかと思います。

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