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本当に面白い映画は最後の瞬間まで面白くない
先日、なんの思い入れもない映画を観ました。たまたま目についた映画を録画していただけで、特に期待もせずに。映画を観ることが目的であればなるべく映画館に行くか、家で観るにしてもかなりコンディションを整えて終わるまで何も邪魔が入らないようにトイレにも先に行きます。しかし今回は、アイロン掛けを2時間ぐらいやらなければならない状況の中、暇つぶしに観ようとしただけなので、そこまで興味のない映画を選びました。
筋はこうです。
冴えない42歳の男がいて、突然この一年後に私は死にますと言います。物語全体が回想なんだと言うことが最初に明かされるのですが、意味がわかりません。その一瞬で確かにどうやってこの男性は死ぬんだろうと言う好奇心から見始めてしまいます。不動産屋の妻と思春期の娘から軽蔑された無気力男は、娘の友人(女子高生)に惚れて気に入られるために身体を鍛え始め、娘は隣に住む風変わりな高校生と恋に落ち、妻は旦那に愛想を尽かして他の不動産屋と不倫します。歯車が少しずつ狂い始め、男は仕事を辞め大金を手にし、自分の好きなように生き、自分を取り戻し幸せを感じることが出来るのですが。。。
アメリカ社会の闇にスポットライトを当てた作品ということで、1999年当時のアカデミー賞作品賞など数々の賞を獲得した”アメリカン・ビューティー”です。
この映画の意味するところや価値について語りたい訳では無いのですが、映画とはこうあるべきという点がこの映画にはよく出ていました。何かと言うと、最後のシーンまでほとんど面白く無いということです。
もっと言い換えると、最後のシーンを見た後でもう一度この映画を観ると、全てのシーンがめちゃくちゃ面白くなるんです。
伏線がいたるところにあって、最後のシーンで全てを回収するという、最高にクールなやり方だなと感じました。最後のシーンまで面白く無いなと感じるのは、全てのシーンに何か欠けているモヤモヤした感情が湧き上がって、面白く無いけど最後まで観たい欲求に駆られるんです。その何かがクリアになったとき、この映画は凄いとなる訳です。
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