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20年後のメッキ業界

少し前に話題になった、「 人工知能やロボット等による代替可能性が高い 100 種の職業 」(野村総合研究所)に「めっき工」という項目があり、どうなるんだろうと危機感を覚えたのですが、昨日改めて20年後自社を取り巻く環境がどうなっているか思考トレーニングをしようという勉強会に出席し、自分の考えを述べさせて頂きました。その際の内容を忘れない様に書き留めておきます。

20年前とほとんど変わっていない

20年後を想像する前に、今から20年前(1999年)と比較してアルファメックの工場内でやっていることはほとんど変わっていません。アルファメックには、自動機ラインが2本と、手動ラインが11本あります。自動機ラインといってもメッキ時間や電流値の設定は手動で行い、液の管理も人の目と手で行います。手動ラインはその名の通り全て職人が設定し作業します。一方で、半導体メーカーが導入している全自動メッキ装置や、大規模メッキ工場にある自動ラインでは作業者の大半が冶具への製品のセット(タコ掛け)と、メッキラインから上がってきた製品の引き上げ、そして検品に携わっており、各工程内容について熟知している作業者はほんの一握りです。このような先進的と言われる装置の存在から、「めっき工」がなくなる仕事であると認定されリストアップされたと考えられます。

ロボット化したとしても無くならないもの

それぞれの工程を全自動化することが早晩可能になるとしても、メッキの肝となる条件設定は必ず人間がやり、それをロボットにティーチングしなければならないと思います。それすらもディープラーニングで叶えられるとすれば、もはや手を出せないかもしれませんが、そこまでの技術飛躍は起こらないと考えています。仮に全自動メッキロボットが発売されても、メッキ条件をティーチングする人材の有無で企業力に差が付き、かえってローテクでやっているメッキ屋の職人にスポットライトが当てられるのではないかと私は考えています。

追記(話さなかった内容)

結果的に、単純作業と複雑作業がロボットと職人に割り振られ、更に少人数で大量の仕事がこなせるようになる明るい未来が待っていると楽観的な予想を私は持っています。過去、産業革命で仕事が奪われると労働者が立ち上がったことは、想像力の欠如によるもので、結果あれから200年以上経った今では、機械で仕事するにしても必ずその機械の世話をする労働者が必要となり、機械の操作がまた職人技となってより多くの付加価値がある仕事を生み出してきたことを考えると、ロボットをいかに便利な道具として扱える想像力のある人間になれるかが、我々の未来を変えるためには必要ではないかと考えます。

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