ニュース

ステンレス素材小部品への無接点メッキ開始

ステンレス素材は、ご承知の方も多いかと思いますがメッキ難素材と業界内ではされています。既に1990年代から精密機械部品への機能メッキに取り組み始めてきた弊社では、様々なステンレス素材で製作された部品への表面処理を幅広く手掛けて参りました。

ステンレス素材へのメッキ方法は、塩化浴ベースのストライクニッケルメッキという前処理を行った上で各種メッキ皮膜を密着させるため、どうしても治具の電気接点が必要である点と、ラッキングの手間が必要である点が小部品についてはボトルネックとなっておりました。

ステンレス素材への無接点黒色無電解ニッケルメッキ

上の写真は、ステンレス製の精密ネジ(M1.0~M3.0)へ黒色無電解ニッケルメッキを5μm±1μmで処理したものです。通常、ストライクニッケルメッキを行うためには首下で引っ掛けたり何らかの方法で接点を取らなければならず、その部分で密着不良や無メッキ部分が出来て下地のステンレスが見えてしまいます。

分かり易くするため、黒色無電解ニッケルメッキの処理をしましたが、その他各種無電解ニッケルメッキの対応が可能です。

無電解ニッケル・りん合金メッキ

低りん・中りん・高りんタイプを保有しており、それぞれ析出時の硬度・磁性・はんだ付け性・外観が異なります。

無電解ニッケル・ボロン合金メッキ

ジメチルアミンボランを還元剤とした、特殊な無電解ニッケルメッキの一種。ボロン含有率は1~2wt%程度で、純ニッケルに近く、はんだ濡れ性の高さから電気接点部品などに利用されています。また、析出時の硬度も無電解ニッケル・りん合金メッキよりも高く熱処理を嫌う部品に硬度を持たせたい場合に適しております。

無電解ニッケル・りん/PTFE複合メッキ

無電解ニッケル・りん合金メッキをベースに、PTFE(テフロン®)を共析させた品種です。フライパンに使われていることで離型性の高さについて認知度が高い表面処理です。樹脂用射出成型金型への表面処理に利用されています。また、摩擦係数が低いことから、バルブ部品のカジリ防止にも利用されています。

無電解ニッケル・りん/BN複合メッキ

BNとは、ボロンナイトライドというセラミックのことで、上記のPTFEの様にセラミック粒子を共析させた無電解ニッケルメッキの一種です。ボロンナイトライドには種類があり、弊社で取り扱うのは摩擦係数の低い六方最密構造を有するものです。エアツールなど、高速回転する軸受けへの採用実績がございます。摩擦係数の低さの反面、耐衝撃性能は低くなっております。これは結晶構造の問題で、二律背反する事象となっており、設計時点での要検討事項です。

黒色無電解ニッケルメッキ

無電解ニッケルメッキ後に、黒化処理液にて酸化し、黒染めを行い、熱処理で硬化させます。膜厚の精度は他の無電解ニッケルメッキよりもやや劣り、±2μm程度の誤差を生じます。最低5μm±1μm狙いから受けることが可能です。物質特性としては、反射率の低さが優れており、反射率10%を切ります。光学部品などにご採用頂いている例がございます。また、他の黒色メッキと比較すると黒さとムラの少なさと硬度に優れ、現在最も注目されている品種になります。

コメントを残す


お問合
わせ