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利害関係者との会食による処分についての経験談

つい最近世間を騒がせた、公務員への高額接待問題ですが、時代を10年ほど巻き戻して自分が社会人になりたての頃営業マンだった時代を思い出しました。

民間企業は、ある製品を買ってもらうと同時に、材料など仕入れも行うことがあるため、互恵関係とか、Win-Winだとかよく言って、営業マンに紹介をしてもらう形で購買担当者と繋いで頂いたり、逆もよくある話ですが、そこに接待が伴うことも業界としてはよくありました。

素人購買担当者の末路

私が担当していたかなり大きい、英語で言うとHUGEな企業があり、そこの購買窓口に赴任してこられたご担当者様は、人事部から40歳を過ぎてキャリアアップのために一旦異動されてきたばっかりの方でした。アポイントを取ろうとすると、すんなりと受け入れてくださり、他愛もない話から商談の核心に質問を向けると、すんなりなんでも教えてくれるいい人でした。本当にやり易かったです。関西に拠点を置く同業他社の購買担当者様は、電話口でほぼ恫喝に近い値引き交渉をしてこられた経験があったので、余裕でした。

ある時、あるイベントのVIP招待券を持っていったところ、大層喜ばれて、当日もそのイベント会場でご家族ともお会いでき、ホクホクとした顔で帰っていきました。よっぽどうれしかったのでしょう。翌週に会いに行ったときは逆に頭を下げられ、家族にも尊敬のまなざしを向けられたと感謝されました。

翌月、その方の姿はなく、元居た人事部へ帰任されたと聞きました。急転直下です。しかし、理由は私以外に無いなと直感的に感じました。

互恵関係の末に

上にも書いた通り、互恵関係が必要な商談も多く、上手くかわすことの出来なかった新人営業マンの私は、きわどいやり取りを強いられることになりました。

機械を売りたい私は、購買窓口に商談の芽が無いか確認しに定期的な訪問を繰り返します。すると、物流会社なので機械の運搬の仕事が取りたいから営業マンと会って欲しいと言われました。もちろん断れません。お会いすると、上長を含めた会食をしたいと言われ、接待を受けることになってしまいました。

G座のすき焼き屋に連れて行って頂き、銀Zのクラブに連れて行っていただき、神奈川の寮までタクシーチケットを使って帰らせて頂きました。上長はご機嫌でした。

翌日直ぐに営業マンから電話を頂き、物流関係の購買窓口に取り次いでほしいと言われました。当然です。これも仕事なので、上長の名前をふんだんに使って会うだけ会って欲しいと言って面談の約束を取り次ぎました。その時の工場見学の写真はいまだにアルバムの中に飾ってありますが、全員しらこい顔をしていました。

結局、決まった運搬会社があり、システムが繋がっており、人事交流(天下り)もあるためこれをひっくり返すには驚くほどのコストを出さないことには難しいとけんもほろろにやられているところを横で見せつけられ、営業マンの顔は曇り、何か手立てはないかと横目で訴えられるも、こんな硬直化した縦割り組織の中ですき焼きとクラブ接待だけじゃどうにもならないことが分からないんですか?というテレパシーを送りました。

そして、その翌月電話がかかってきて、僻地へ転勤させられたとだけ聞かされました。

(ま、しょうがない)

交通費で背任横領

購買窓口には、ガチガチにこちらを向いてくれている方もいらっしゃいます。無償の愛と勘違いするほど、その人にアポイントを取ると万障繰り合わせの上会ってくださいますし、どんな現場の担当者にも取り次いでくれます。

随意契約と言って、他の企業が入り込めないような自社製品しか買えないような仕様書を作ってくださり、変更点があれば原本を書き直してくれる、素晴らしい理解者だと感激して足しげく通っていました。

一旦機械を納品すると、改修工事があった場合、莫大な運賃や代車費用が発生するため、絶対1回以上の納入前立会研修という仕様通りに作られているか確認する工程があります。

その旅費は営業サイド持ち。しかし、出張旅費精算をしていたその方は、背任横領で告訴されないものの、担当から外されて閑職へ追いやられてしまいました。

私はその後、その方に関するすべての情報を遮断したため、シュレーディンガーの猫状態で、今も元気に生きているか、どこで暮らしているか全くわかりません。聞いていないので。

公務員が会食してはいけないは誤解

7万円の高級接待を受けて割り勘にしなかったことが問題ですが、まあ普通に考えて、払わない席も多くある中、たまたま露見したのかな?と邪推してしまいますが、それはまたやった側も収賄罪がかかって来る可能性もあるので基本的にどちらもしゃべらなければ秘匿出来ることですよね。人の口に戸は立てられぬと言いますが、今や週刊誌ネタがお金に代わる時代なので、倫理観というよりかはルールだけは守って後ろから刺されないように自己防衛を常に行わなければいけないなという気がします。

企業側も、支払った額の半額を負担されたら接待交際費の半額が現金で浮いてしまうので、困るでしょうけど。その差額の領収書を切ってくださいというのも不粋な感じがしますし。

色んなことを考えさせられますが、上に挙げた私のつまらない経験から言えることは、接待で自分に利益を引っ張ろうとすると碌なことが無いという、それだけのことです。

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