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彼女出来たかもしれない野郎を見た夜のお話
少し前、異業種交流会で知り合った社長さんと2次会でバーに行き、もうちょっと飲もうかということになりスナックへハシゴすることになりました。時間にして11時前。いい具合に出来上がった人たちで店内は盛り上がっていました。中でもひときわ盛り上がっていたのは、31~32歳という男性1名、女性2名の小グループ。男性1名を囲む形で白ワインを飲み、昭和歌謡を歌って場を盛り上げている真ん中の男。
L字型に席が並んだ店内で、Lの短辺が店の一番奥で、そこに女・男・女、折り返して長辺の根本側から連れの社長さん、私という座席で並んでいました。
一番奥の女性と真ん中の男性は、なにやらただならぬ雰囲気になり、お互い意識しているような状況。
一旦停止する男
11時30分ごろ、真ん中の男性は静かに一旦停止し、そして動かなくなりました。
最初は冗談かと思い、隣の女性たちも肩をゆすって起こそうとしましたが、無駄でした。
暫くして、我々に近い側に座った女性は徐(おもむろ)に財布を取り出し、こう言いました。
手前の女性「私、終電がそろそろだから帰るね。一緒に帰らない?大丈夫?いくら置いていけばいいかな?」
奥側の女性「あぁ・・・。私、もう少しここにいて起きてくるの待つね。大丈夫。引っ張ってごめんね。二人で払っておくから。」
手前の女性「・・・、そう。じゃあお言葉に甘えて。おやすみなさい。」
真ん中の男性はピクリとも動かないまま、奥側の女性と二人っきりになってしまいました。
ここで、私は一つの可能性を考えました。
男性が直ぐに意識を取り戻し、「あれ?もう帰っちゃったの?」と白こい感じでその状況を作り出した俺、ファインプレーでしょ的な顔をすることを。
残酷にも木曜日は金曜日に変わって・・・
しかしながら、彼はその後1時が過ぎても起きてくることはなく、しびれを切らした奥側の女性は「私、もう帰ります。」と言い残してスッと席を立ってしまいました。
この状況を、私と同い年のバーテンの兄ちゃんも、一緒に来た社長さんも、なんだったら隣で飲んでたエレベータ屋さんも、歌がうまい兄ちゃんも、歌わないけど場を楽しんでるおじさんもみんな固唾をのんで見守り、ついつい心の声が一斉に噴出しました。
「あぁ~帰ってもうた~笑笑笑笑」
もはやそこには、身動き一つせずヨダレが着ていたシャツに垂れてしまった31歳の男性の抜け殻のようなものしか残っていません。
突如起きた男性の行動に一同大爆笑
そこから1時間半が経過し、流石にそろそろしんどいな、だけどこの男性が起きた時のリアクションを見てみたいという一心で私たちは席に留まり続けました。隣にいる社長さんも一緒の気持ちです。
すると突如として彼が起きたのです!!
男性「ん!?え?え?え?え?」
周りをキョロキョロ見回し、そして次の瞬間・・・
女性が座っていた座席をバンバン叩き始めたではありませんか!!!!
そして、彼はトイレへ駆け込みました。
トイレに入ったのを確認した瞬間、僕たちは腹が千切れるほど笑い、この悲哀に満ち溢れた男性が次に取る行動はなんだろうと考察に入りました。
「マスター!彼と彼女たちとはたまに一緒に来たりするの?」
マスター「いえ。今日初めてどこかの飲み屋で出会ったそうです笑」
そう。彼らは行きずりの関係だったのです。お互いの住んでる駅すら知らずに意気投合していたのでした。LINEとか交換してたのでしょうか。後の祭りですが。
その後トイレから無事帰還した男性に、マスターは「そろそろ店閉めたいので、お会計お願いします。」とそっと伝票を出し、それを見て男性はまた気絶するように眠り始めました。
終
制作・著作
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アルファメック株式会社
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