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オリンピックのメダルに変色や退色があったニュースについて
インターネットニュースで、リオオリンピックのメダルに不具合が出たというものを見かけました。AFPでは、「リオ五輪のメダル、メッキが剥がれるなどの欠陥が発覚」と報じられています。しかし、朝日デジタルでは、「リオ五輪のメダル、変換相次ぐ さびなど130個超」と報じられています。この違い、我々メッキ業に携わる者としては大きなかい離があります。これについて詳しく説明していきたいと思います。(記事全文はこのブログの下の方に転載させて頂きます。)
事実として報じられていることは以下の事柄です。
- リオ五輪のメダルの6~7%で変色や退色などの不具合が起こっている
- そのほとんどは銀メダル
- 不具合が起きたメダルは補修対応する
そもそも、オリンピックのメダルは金・銀・銅の三種類がありますが、金メダルのみが銀メダル上へ金メッキを施しているもので、銀メダルや銅メダルはどちらも合金で出来ています。AFPの報じたところでいけば、メッキをしていない銀メダルでメッキが剥がれるなどの欠陥と大きく矛盾したタイトルを付けられていることになります。
銀は水分や硫黄分と酸素が結びつくことで変色してしまう厄介な代物です。特に人に触れると汗の成分が変色を手助けしてしまうのです。なので、銀メダルには恐らくクリア塗装などを施し、表面が空気と触れない様に工夫されているはずです。今回の変色は、この塗装が甘かったせいと考えられます。
最初この記事を見かけた時、金メダルの金が薄すぎてピンホールから不具合につながってしまったんじゃないかと思いました。しかし、金メダルには金メッキの重量指定があるため今回不具合があまり起こらなかったのではないかと思います。
朝日デジタルの方では、「上塗りのニスが剥がれてしまったのが原因」と書かれています。
この不具合は、伝えられたことと金属の実際問題から考えて、銀メダルで変色が起こったことが問題であるのですが、変色を「さび」と脳内変換してしまった上に、「さび」だったら「メッキが剥がれた」と妄想で記事を書いたのでしょう。
妄想で記事を書くということが、同業者に悪いイメージを抱かせるなど大きな迷惑をかけることに繋がると理解して記事を書いて欲しいものです。
そもそも、海外の記事を翻訳して載せているに過ぎない、自分の足で取材して理解して人々に伝えるというジャーナリズムの基礎が出来ていない人に、記者を名乗って欲しくないです。
リオ五輪のメダル、メッキが剥がれるなどの欠陥が発覚
5/20(土) 11:55配信 AFP=時事
2016年リオデジャネイロ五輪の大会組織委員会は19日、選手の勲章であるメダルの色が剥がれてしまう問題が相次ぎ、新品に交換する手続きを進めていると発表した。昨夏のリオ五輪では推定2021個のメダルが授与されたものの、その多くでメッキが剥がれ始めている。リオ五輪の広報担当者マリオ・アンドラーダ(Mario Andrada)氏は、「メダルの6~7パーセントで表面に問題が起きています。気候の違いによるものと思われます」と明かし、「国際オリンピック委員会(IOC)と連携し、欠陥があるメダルを交換するシステムを準備している」と語った。アンドラーダ氏はまた、問題が起きているのはほとんどが銀メダルで、メダルを製造したブラジル造幣局が対応を進めていると述べた。リサイクルされた二次原料で作られたリオ五輪のメダルが、退色したり表面のメッキが剥がれたりしている醜態に直面し、同委員会は「メダルは修理するか交換します」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170520-00000013-jij_afp-spo
リオ五輪のメダル、返還相次ぐ さびなど130個超
昨年8月のリオデジャネイロ五輪で選手たちに授与されたメダルのうち、130個以上のメダルにさびや黒ずみが出て、世界各地の選手から大会組織委員会に返還されていることがわかった。組織委はさびや黒ずみを取り除いたうえで、選手たちに同じメダルを返すという。ロイター通信が19日に報じた。大会主催者によると、さびや黒ずみが生じたのは銅メダルが多く、「落としたり、乱暴に扱われたりして上塗りのニスが剝がれてしまったのが原因」という。なかには「想定を超える寒さにさらされたため、同じような問題が生じたメダルもある」としている。リオ五輪では、合計で2488個のメダルが製造された。このうち少なくとも130個が返還されたので、返還率は全体の5%を超える。大会主催者は「きちんと補修して、選手たちに返したい」と話している。日本オリンピック委員会(JOC)によると、返還した日本選手はいないという。
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