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出張先の印象深い宿泊先

私は前職、決まったお客様を定期的に訪問し商談を進めていく所謂ルート営業ジャンルの営業マンをやっておりました。そのお客様は地方であるため、出張イコール宿泊がつきものでした。ある程度出張に慣れてくると、余りにも早く予約を取ってしまうと、急なキャンセルになった場合困るので、結構ギリギリに予約するようにしていました。

松山で取引先さまとの思い出

ある時は松山市で学会があり、宿が取れずに営業先の部長さんのご自宅に泊らせて頂きました。ご飯を食べて家に戻り、その後家の近くのスナックに風呂に入ってから健康サンダルを借りて歩いて行ったのがいい思い出です。本当にあの時はありがとうございました。結局その後も高知のご自宅にも泊まらせて頂いたりもしました。

高松で上司との思い出

またある時は高松である全国的な組織の大会があり、ホテルと言うホテルが満室状態で、やっと予約が一つとれたのですが、上司に同行を依頼していたため、譲ることにして私は近くのカプセルホテルに泊まることにしました。

上司は、「悪いな。お前にだけそんなカプセルホテルなんか泊まらせてしまって。」と仰ってくださって、私は内心宿なんて眠れさえすればどこでもいいと思っていたのですが、恩を売るチャンスだと思い、宿泊先のホテルについて少し誇張して言いました。

「課長、大丈夫です。カプセルホテルなんて泊まる機会滅多にないですし、後で話のネタになるので逆にありがたいです。それより今日お泊りになるホテルの名前ですが、”おおくらほてる”です。」

上司は驚いて「ええ!?高松にあのオークラがあるのか!?」と言い目を丸くしていましたが、到着した瞬間顔色が変わりました。

「お前、オークラホテルじゃなくて大倉ホテルじゃねえか!!」

和歌山の印象深い思い出

最後は和歌山での一幕です。上記と同じで、地方都市は全国規模の集まりが行われるとホテルのキャパが小さいので直ぐに満室になってしまいます。その時私は片っ端から電話をかけて、漸く一軒の民宿に予約を入れることが出来ました。

民宿に到着し、何故こんなにどこも予約が取れなかったのか聞いてみると、こう返事されました。

「いやね、明日全国の保母さんの大会があるみたいなんですよ。今日も保母さんが沢山ここの宿にもお泊り頂いています。」

ええ!?っと驚いて他の宿泊客を見ると、みんな確かに優しそうな顔をした女性ばかり。私は一晩、保母さんに囲まれて生活をしていたのです。

※現在保母さんとは言わず、保育士と呼ぶことをここで注記させて頂きます。

その民宿は、トイレも風呂も共有で、開いていたら入れるという仕組みで、かなり気を遣わせられました。

晩御飯は営業先の方と一緒に食べたのですが、朝ご飯は民宿で用意があるということだったので食べることにしました。

食堂へ向かうと、カウンターの上にサランラップが巻かれた作り置きのオカズや、オムライスなんかが沢山置かれていて、民宿のオーナーさんが両手を広げてこう言いました。

「さあ!みなさん、昨日の残り物です!温めて食べてくださいね!!食べ放題です!!」

私は残り物のオムライスを頂きました。

帰りがけに、スーツで出立する私を見るとオーナーが飛んできて、名刺を渡してこられて、「これからもビジネス用途にご活用頂ければ幸いです。」とご挨拶してもらいました。この民宿、ホームページではビジネスホテル〇〇〇と名乗っていたのですが、造りは完全に民宿でした。ちょっとビジネス用途は難しいかもしれません。

他にもラブホテルに宿泊したり、友達の家に泊めてもらったり、朝まで飲んだり色々やってきた20代だったなと振り返って笑い話に出来ています。

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