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M-1グランプリは究極のお笑い芸人オーディション番組

M-1グランプリで優勝すること、または準決勝以上で活躍することはテレビに出ていないお笑い芸人にとって、売れる最短ルートの切符を手に入れることになるのですが、昨今盛り上がっているオーディション番組の要素が背骨に組み込まれているなと先日の放送を見てつくづく思いました。

M-1グランプリは日本人の大半が知っている漫才賞レースの最高峰で、10,000,000円の賞金は決して最も高額な賞金ではないものの、既に権威化しており、上記と同じくここでの活躍イコール売れることが約束されると言える、年末の恒例行事になってしまっています。

昨年大流行りしたK-POP要素の強いNiziUが記憶に新しいですが、遡ること20数年前、モーニング娘。もオーディション番組出身で国民的アイドルの地位を確立しました。この、オーディション番組という仕組みは全世界的に見ても非常に有能で、「勝ち上がればスターになることが約束されている」という触れ込みに対して、金の卵たちが応募し、勝ち上がる様子、敗退する挫折、成長する過程を見ながらハラハラドキドキを出演者と共有し、万が一自分が優勝を期待していたタレントが優勝したら当たり前のように喜ぶし、自分の推しが負けてしまったとしてもその屍を超えて行った別の存在を応援せざるを得ないように作られているのではないでしょうか。

家族でNiziUのオーディション番組を楽しく拝見しておりましたが、結局途中で負けてしまう子たちを気に入っていたとしても、最終的にはグループ全体をささやかながらも応援して行きたいと満場一致(二人)で採択してしまっていました。

決勝以上に勝ち進めば芸人的に勝利

1回戦、2回戦、3回戦、準々決勝、準決勝、敗者復活戦、決勝ファーストステージ、決勝ファイナルステージと合計8回勝ち上がると優勝するわけですが、決勝より前から見ている人はかなり稀で、決勝に勝ち上がる9組の中から1組を満場一致で決めるというのは不可能に近いため、自分なりの優勝コンビというのがそれぞれで生まれるわけです。

M-1はオールオアナッシング(勝者総取り)ではありますが、芸能人として知名度と人気を得るのはこの決勝戦進出者以上で、滑らなかったコンビにはある意味約束されたも同然となります。

実際に優勝していないのに優勝したような売れ方をしているコンビが沢山いますよね。

ちなみに準決勝以上でもエンタメ界隈ではかなり知名度が上がり仕事が増えます。

決勝ファイナルステージの怖さ

1日に2本、同じ客の前で勝負ネタを仕込んでこなければならないという難しさがM-1グランプリの面白さで通っていますが、出演者からすれば地獄ですよね。

9組のネタで競って、「面白かったけど惜しくも敗退したな。2本目も見たかったな。」と言われるコンビと、「1本目は面白かったけど、2本目はめちゃくちゃ滑ってた。そこまで期待できないね。」と言われてしまうコンビとがいるのです。オリンピックで言えば、銀メダルは負けてもらえて銅メダルは買ってもらえるみたいな違いかなと思います。

もし3組とも滑った場合、どのコンビにするんだという悩ましい場面で審査員の面々は何を考えるのでしょうか。

今年、錦鯉が5票で優勝し、涙を流し、審査員も涙を流し、テレビの前で私も涙を流して観ていました。今後、私はほとんど見ませんがゴールデンタイムのバラエティ番組で鬼ごっこをしたり、ドッキリを仕掛けられたり、無人島で魚を捕ったり、海外へ危険な冒険の旅に行かされたりと大活躍する絵が走馬灯のように浮かび上がってきました。

もはや笑うというよりかは、良かったねという感動の方が圧倒的に大きかったのです。完全なオーディション番組のそれだなと、私は思ったのです。

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