メッキ技術情報
バイポーラ現象
ニッケルメッキによくある不具合を引き起こす現象として、バイポーラ現象というものがあります。定義としては、電解液中で一個もしくは一団の電導体が正と負の二つの極を同時に持つことを言います。
メッキ中に通電せずにメッキ液中に他の品物を投入すると、陽極側が負の電位を帯び、陰極側が正の電位を帯びてしまい、正の電位を帯びた側から酸素ガスが発生するかもしくは金属の溶解が起きてしまいます。
ニッケルメッキの場合、バイポーラ現象によって正の電位を帯びた側は不働態化してしまい密着不良を起こしてしまいます。
対策としては、被メッキ物を全て投入してから電圧を掛けるか、通電しながら被メッキ物を投入することなどが挙げられます。特異な例として、メッキ液中に落ちてしまった金属片が常時メッキされてバイポーラ現象の原因となる場合もあります。