ステンレス鋼
ステンレス鋼は、クロムを12%以上含有する特殊鋼でJIS規格ではSUS(Steel Special Use Stainless)と表記します。ニッケル、モリブデン、チタンなど種々の元素を含有させ、耐食性の向上以外にも様々な特性を持たせている特殊鋼です。クロムの特性で3nm程度の不働態膜が約90秒で表面に形成されるため一般的に錆びにくいとされています。硝酸などに代表される酸化性の酸に対して大きな耐食性を示しますが、一方で塩酸などの非酸化性の酸に対しては耐食性が劣ります。そのため、ニッケルを8%以上添加することで非酸化性の酸に対しての耐食性を高めています。
ステンレス鋼の種類と特徴
ステンレス鋼はJIS規格によって次の5系統に分類されています。 ・オーステナイト系ステンレス(クロム―ニッケル系) 18クロム―8ニッケルのSUS304に代表されるステンレス鋼です。冷間加工性や耐食性に優れ様々な部品に用いられています。
マルテンサイト系ステンレス(クロム系)
13クロムのSUS403,410に代表されるステンレス鋼です。焼き入れにより硬化し、強度、耐食、耐熱が必要な機械部品などに用いられています。
フェライト系ステンレス(クロム系)
18クロムのSUS430に代表されるステンレス鋼です。熱処理による硬化はほぼなく、耐食性、加工性に優れ溶接性も良好です。主に薄板や線で使用されています。
二相系ステンレス(クロム―ニッケル系)
オーステナイト系とフェライト系の中間に位置するステンレス鋼です。耐海水性と耐応力腐食割れ性に優れ、強度も高く厚板、管、鋳物に用いられています。
析出硬化系ステンレス(クロム―ニッケル系)
オーステナイト系ステンレスを熱処理によって硬化出来るようにしたステンレス鋼です。耐食性はオーステナイト系より劣りますが、マルテンサイト系より優れます。シャフトなど機械構造部品に用いられます。
ステンレス鋼へのメッキ意義
一般的にメッキは耐食などを目的として行われますが、耐食性に優れるステンレス鋼へメッキは、コストダウンの可能性を秘めています。ステンレス鋼は合金添加量によって様々な特性を持たせた鋼材がありますが、含まれる合金の量と価格に比例して鋼材価格が上昇します。そのため、比較的流通量が多く安価なステンレス鋼に目的の機能をメッキによって付加することで大幅なコストダウンに繋がります。また、ステンレス鋼は電位が高いため電解液内で炭素鋼など電位が低い金属と長時間接触接触していると、ガルバニック腐食(異種金属接触腐食)が起こります。これを防ぐため、表面をメッキで覆ってしまう場合があります。
アルファメック取り扱いメッキ種 | 可否 |
硬質クロムメッキ | ○ |
電気ニッケルメッキ | ○ |
無電解ニッケルメッキ Ni-P | ○ |
無電解ニッケルメッキ Ni-B | ○ |
無電解ニッケルメッキPTFE Ni-P/PTFE | ○ |
無電解ニッケル・セラミックス複合メッキ Ni-P/BN | ○ |
黒色無電解ニッケルメッキ | ○ |
硫酸銅メッキ | ○ |