液面の高さを外から見える化(宮崎太郎)
あなたにとっての改善活動について教えてください
私にとっての改善活動は、仕事の一部です。個人目標でもひと月に2件改善事例を作成することを掲げています。2017年は20件、2018年は27件、2019年の目標は30件です。
どうやってそんな件数をコンスタントに挙げられているのでしょうか?
一番大事なのは意識だと思います。もちろん「改善事例を挙げたい」と思うだけで改善出来たら苦労はないのですが、意識するとしないとで、物の見方が全然変わってきました。最初は「どこかに改善出来ることはないか」という目的意識から始まったのですが、持ち場の改善をやりつくすと今度は作業をしていく上で「面倒くさいな」と感じるたびに「改善出来るんじゃないか」と考えるように、思考回路が成長したと実感できるようになりました。
誰でも真似できる「仕組み」みたいなものはありますか?
100均で売ってる様なメモ帳に「ゲンバでの困りごと」を、とりあえず文字通りメモして「保留」とします。そして、毎日そのメモ帳を眺めて何かいい方法は無いか考え、改善方法が思いついたら斜線を引いて消していきます。そうすると、その場で解決出来なくて諦めることも無くなるし、別の視点から柔軟に物事を考えることが出来たり頭の中が整理出来たりするのでお勧めです。
それでは、お勧めの改善事例を紹介してください。
タイトル:液面の高さを外から見える化
ニッケルめっき浴は50℃前後あり、次第に蒸発して液面が下がってしまう。また、製品による液の汲み出しによっても液面が下がる。そのため、水を足すのだが、規定量まではゲージを使ってタンクの縁からの高さで図りながらの作業となり、不都合があった。まず一つ目はその場を離れられない点にある。ゲージの目盛り線が液面から出ているかどうかを確認する必要がある為だ。そして二つ目は、ホースの水がムダになってしまう点にある。どういうことかというと、ホースの蛇口がタンクから少し離れた場所にあるため、規定量の水が入った段階でタンクからホースの口を逃がし、床に水をまき散らさなければならないのである。
ニッケルめっき用のタンクは若干透明になっており、外側から液の高さが分かることに気付いた。そこで、外側にビニールテープを規定量の高さが分かるように貼り、「見える化」を図った。
これによって、常に液面の高さが確認出来るようになった。また、離れた場所にある蛇口をひねり、引っ掛けたホースで水を足すことが出来るようになった。毎日何度も行う作業の為、継続的な効果があった。