冶具の滑りを悪くする改善(渡邊強)
改善活動について一言お願いします。
改善活動は、僕らの工夫を発表できる晴れ舞台だと思っています。改善したことを事後報告する会議で、出席者全員が相互に「いいね」を5回投票出来るのですが、自分の発表した改善事例が評価されると正直凄い嬉しいです。しかも投票数が多いと賞金が貰えることもあります。件数に対しての賞金もあるので改善すれば必ず報われます。
どんな改善が評価される傾向にありますか?
大きく分けると三つあると思います。
- みんなの役に立つ改善
- 創意とくふうに満ちた改善
- 経済効果が大きな改善
改善事例発表会では、この3つに当てはまる発表を聞くと、凄いなあと感心すると同時に、自分もどうにかしてさらに凄い改善をやってやりたいという闘志が沸き立ちます。
自身の改善はどんなものが多いですか?
私の改善は、後でご紹介させて頂きますが、ゲンバで困ったことを解決しているだけです。基本的に、以下の三点の原則に当てはまります。
- 生産性向上
- 不良率低減
- 作業環境改善
冶具の改良、めっき方法の改良、作業スペースの確保、検査室の5Sなど様々です。
渡邊さんの実績を教えてください。
2017年が17件、2018年が22件です。優秀賞が1回、いいね得票数一位が1回、技能賞(社長賞)が1回です。今日は優秀賞を頂いた案件をご紹介させて頂きます。
タイトル:冶具の滑りを悪くする改善
【改善前】
薄くて小さい製品があり、無電解ニッケルメッキ処理を行う。製品同士がくっつくとメッキ不良となってしまうため、間に樹脂ワッシャを入れている。しかし、メッキ中製品を揺動させる際、丸棒が滑り樹脂ワッシャと製品がくっついてしまうと、その部分で冶具痕が発生してしまっていた。
【改善後】
丸棒にサンドブラスト処理を施し、滑りを悪くした。それによって、樹脂ワッシャが揺動しても動くことなく製品と樹脂ワッシャの間に余裕がある状態をキープすることが出来た。
この改善によって、二つの効果がもたらされた。一つ目は、不具合率の低減。冶具痕が残る不具合がゼロになったことで、剥離再メッキ処理が無くなった。二つ目は、工程内で製品と樹脂ワッシャがくっつかないように監視し手直しをする手間が省けた。
発想の着眼点はどこにありましたか?
アルファメックでは、ゴルフクラブへのメッキを幅広く取り扱っています。その最終工程で、アイアンのフェイスの滑りを悪くしゴルフボールに回転が掛かり易くするために、サンドブラストをうちます。そこからヒントを得ました。今後も、自分のゲンバ以外に目を向けて、困りごとを解決出来るヒントが無いかアンテナを張り続けたいと思います。