メッキ技術情報

PTFEとPFOAについてのご説明

現代社会において、摩擦係数を下げる、離型性を上げるといった表面改質の分野で無くてはならなくなった存在のPTFE(テフロン®)について、2019年からとても厄介な問題が発生しました。人類にとって、持続可能な開発目標(SDGs)を掲げる上では向き合って行かなければならない事柄であるため、半ば強制的にでも対応せざるを得ないことが起こっています。簡潔に申し上げると、PFOAが含まれるPTFEを製造出来なくなります。

専門用語が多すぎてちんぷんかんぷんだと思うので、一つずつ丁寧に説明して参ります。

①PTFE

ポリテトラフルオロエチレン (polytetrafluoroethylene, PTFE) はテトラフルオロエチレンの重合体で、フッ素原子と炭素原子のみからなるフッ素樹脂(フッ化炭素樹脂)である。テフロン (Teflon) の商品名で知られる。化学的に安定で耐熱性、耐薬品性に優れる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%AA%E3%83%AD%E3%82%A8%E3%83%81%E3%83%AC%E3%83%B3

弊社では無電解ニッケル・りん/PTFE複合メッキという商品として取り扱いがされています。用途は様々なものが考えられますが、弊社で扱っているものは次の3種類です。

  • バルブの摺動性を上げる目的
  • 刃物の離型性を上げる目的
  • 樹脂射出成型金型の離型性を上げる目的

無電解ニッケル・りん/PTFE複合メッキは、無電解ニッケルメッキがベースとなっているため、複雑な形状に均一な膜厚を密着させることが出来る上に、表面を熱処理によって溶けたPTFE粒子が覆うことで摺動性や離型性が向上するという特徴があります。バルブで言えば、摺動性が上がることでカジリ防止に繋がり製品寿命が向上します。刃物や金型で言えば、離型性が上がることで作業効率が向上し、無理に剥がすことが無くなるため製品寿命の工場が見込めます。

身近なところで言えばメッキではありませんが、フッ素樹脂コーティングされたフライパンは焦げ付きが無く扱いやすいですが、あれもPTFEが含まれています。

②PFOA

ペルフルオロオクタン酸(ペルフルオロオクタンさん、Perfluorooctanoic acid, PFOA, ピーフォア)は、完全フッ素化された直鎖アルキル基を有するカルボン酸である。共役塩基のアニオン界面活性剤として用いられ、PFO (perfluorooctanoate) と呼ばれる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%AA%E3%83%AD%E3%82%AA%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%B3%E9%85%B8

有機フッ化物のPTFEを生成する際に、意図せず生み出されてしまうPFOAは、PFOSと並び、自然界の中で非常に分解されにくく体内蓄積されやすく、毒性もあることから環境破壊物質としてストックホルム条約で規制対象物質に指定されました。

③ストックホルム条約でどう変わるのか

2019年4月29日~5月10日にジュネーブ(スイス)において、残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約(POPs条約)の第9回締約国会議(COP9)が開催され、新たに「ジコホル」及び「ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質」を同条約の附属書A(廃絶)に追加することが決定されました。これらの物質については、今後、国際的に協調して製造・使用等の廃絶に向けた取組を行うこととなります。また、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩及びペルフルオロオクタンスルホニルフルオリド(PFOSF)について、認めることのできる目的及び個別の適用除外の見直し、条約の有効性の評価などについての議論が行われました。

https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190514003/20190514003.html

これによって、PFOAが含有されるPTFEの製造が禁止されることとなり、EU域内に強い効力を持つREACH規制でもPFOA及びその塩は対象物質としてリストに載りました。

REACH規制が効力を持つのは2020年7月4日からで、規制されるとEU域内で販売するものにPFOA及びその塩が25ppb以上含有されていてはならないとされています。

※25ppb=0.0000025%

④日本国内はどうなるか

REACH規制はEU法なのですが、日本にも化審法があり、そこでも同様の規制が設けられることになっております。ただ、規制が開始されるタイミングが当初は2020年4月だったのが、様々な業界からの意見から2020年12月以降に延期されました。

メッキされた製品だけで考えると、PFOAがメッキ皮膜に含有される率は25ppbを下回ることが確認されているので、たとえPFOAが含まれたPTFEを使用し続けてもEU域内へ製品を出荷し続けることが可能でした。

但し、化審法によりPFOAが25ppb以上含まれるPTFEの製造が国内でも禁止されるため、化審法の施行以降はメッキ業界でも切り替えが必須となります。

⑤まとめ

  • PFOAという環境負荷物質が含まれているPTFEの製造が間もなく禁止される
  • EUで禁止され、日本でも時差で禁止される
  • メッキに関してもこの潮流の中にあり、工程変更に取り組んでいる最中

ご不明な点ございましたらお問い合わせください。

この内容は2020年5月27日に当社ブログに掲載した内容です。

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