ご質問

どうして金属素材とメッキ皮膜が密着するのですか?

金属結合の状態です。
たとえば、鉄素材に銅メッキを行った場合、自由電子が陽イオンであるFe2+とCu2+に共有され、その間を自由に運動しながら各イオンを強固に結びつけています。

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精密部品の開発を担当です。メッキ製品の設計ではどのような点に留意すればよいでしょうか?

  1. 吊り下げやすい構造にすることが大切です。穴のない丸棒や薄板は困難です。メッキジグ用の吊り下げ穴や差込穴を設けてあげましょう。(図2)
  2. メッキ液が抜けにくい形状、逆に空気溜まりができる形状は出来る限り避けて下さい。抜き穴やスリットを設けることでメッキ液の抜けは良くなることがあります。
  3. 電気メッキでは、先端が付きやすく奥まったところが付きにくい性質があります。極端な凹凸は避け許す限り大きなRを付けるとカブリ防止になります。(図3)
  4. プレス品での合わせ面、カシメはできるだけ避けましょう。小さな隙間では水洗工程で前処理液やメッキ液が抜けず入れ替わらないため、シミや密着不良の原因になります。
  5. 平板はメッキ後の乾燥工程でくっつきシミなどの外観不良になりやすいので、ふくらみをつけるなど品物同士がひっつかない工夫をしましょう。特にバレルメッキでは注意しましょう。

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メッキ膜厚はどのように設定すればよいでしょうか?

メッキ膜厚は大きく分けて、耐食性と耐久性の二つに影響を与えます。
「厚ければよい」では寸法・はめ合いが確保しにくくなり、過剰品質によるコストアップの原因となります。素材、施すメッキの種類、使われる環境により条件が異なりますので、経験豊富な信頼できるメッキ技術者に相談しましょう。 すでに量産されている自動車部品などはJIS規格に基づいて設定し、過去にデーターのないものについては耐食性試験、耐磨耗試験など要求される機能についてしっかり評価し、メッキ膜厚を設定するべきです。

メッキ膜厚はどのような方法で測定しますか?

弊社では3つの方法で状況に応じて測定しています。

  1. マイクロメーターで測定
    機械部品などによく用い、メッキ前とメッキ後の差を記録計算します。現品で測定できない場合は、寸法を記録したダミーを使用します。
  2. 電解式膜厚測定
    被メッキ物の微小部分にメッキと逆の電流を流し、溶ける時間により測定する方法です。
  3. 蛍光エックス線膜厚計
    小さな品物でも正確に短時間で、多層メッキも容易に測定できます。精密部品の測定に適しています。

メッキの単価はどのようにして決まるのですか?

見積りを数社から取り寄せた時、単価に大きな開きがあった経験をお持ちの方も多いと思います。工場の設備により得手不得手がありますので、ホームページなどで下記の項目をよく調べてから見積りを取るようにしましょう。弊社では社内の設備でやり辛い、加工できない品物については信頼できる同業者を紹介しています。

  1. 基本となるのは、メッキ種類、メッキ膜厚、品物の表面積、素地の状態、そして数量です。
    メッキ皮膜として表面に付着している金属の価格は単価の一部です。ジグの準備、脱脂・酸洗等の前処理、洗浄・乾燥等の処理、出荷検査・梱包などメッキ作業以外で多くのコストが掛かります。
  2. お客様の品質要求により大きな差がでます。キズ、打コンなど外観品質の容認度合い。
    メッキ膜厚、硬さなど皮膜物性の要求レベル。出荷時の梱包方法などが影響します。
  3. その品物がメッキ作業のしやすい形状に設計されているかが大きなポイントです。
    用途を含め、メッキ加工業者と打合せを行い、開発・設計を進めていくことが必要です。

メッキしにくい材料にはどのようなものがありますか?

  1. メッキ業者がまず苦手とするのは鋳造品です。真ちゅう、アルミ、ステンレス、鉄、いずれの鋳造品にも巣穴や湯口があり、
    密着不良や外観不良の原因となります。前処理液やメッキ液が穴の中に残留し生産技術的に限界があります。
  2. 2種類以上の金属を組み合わせた品物。(図4)
    金属により前処理の方法が異なるのが大きな理由です。また、メッキが付いても接合面で各素材・メッキ皮膜の腐食電位の差によって碑な金属の腐食が促進されます。
  3. 窒ッ化処理された鉄鋼材。
  4. 油汚れを除去せずに熱処理を行った鉄鋼材。密着不良や外観不良の原因となります。

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硬質クロムメッキと無電解ニッケルメッキ。どのように使い分ければよいでしょうか?

どちらも耐摩耗性、耐食性に優れ精密部品によく利用されています。 大きな違いは均一電着性(メッキ膜厚のばらつきの大小)です。 硬質クロムは端部と中央部で膜厚の差が大きく、無電解ニッケルはメッキ液に浸かっている部分でほぼ均一に析出します。 硬質クロムを均一にメッキするには、付きにくい部分に電極を接近させ強制的に厚くしたり、 付きすぎる部分に邪魔板を取り付けたり、ジグの工夫が必要となってきます。コストアップの大きな原因となりますので 機能を満たせば無電解ニッケルを選ぶべきです。硬質クロムは硬度が高く耐磨耗性に優れており、大きな負荷が掛かる機能部品にはより適しています。
弊社では両者の特徴を生かすために、無電解ニッケルメッキの上に硬質クロムメッキすることをお客様の要望があれば行います。

ステンレス素材にメッキできますか?

できます。ステンレスに無電解ニッケルをメッキするには、下地にストライクニッケルメッキを行いその上にのせます。ストライクメッキとは、後工程で行われる皮膜の析出を促進するための電着金属の薄膜です。この場合、塩酸がたっぷり入ったニッケルメッキ浴で活性化しながら短時間でメッキをします。

自動車部品などに用いられているダブルニッケルメッキはなぜ耐食性が良いのですか?
一般的に、メッキ厚20μmのダブルニッケルメッキは、単一層30μmの光沢ニッケルメッキの耐食性が同等もしくはそれ以上と言われていますがその理由は?

半光沢ニッケルメッキ(下層)と光沢ニッケルメッキ(上層)の2層メッキを一般的にダブルニッケルメッキと言います。光沢ニッケルにはイオウが含まれており、含まれていない半光沢ニッケルに対し自然電位が少々碑になります。(2層間で電位差ができると考えて下さい。)湿気などでさびが進むと碑な光沢ニッケルが優先的に腐食し、半光沢ニッケルの素材方向への腐食を暖慢にすることができます。簡単に申し上げると、半光沢ニッケルにイオウが含まれず、光沢ニッケルにイオウが含まれていることにより耐食性が向上している、と言うことです。


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