アルミニウム合金

アルミニウム

アルミニウムは、1886年に工業化され今日に至るまで、他の金属と比較して浅い歴史ながら飛躍的な進化を遂げてきました。特筆すべき特徴は、①軽い(Al:2.7g/㎤、Fe:7.8g/㎤、Cu:8.9g/㎤)、②強い(比強度が大、特に熱処理による強度増大が効果的)、③耐食性がよい、④加工性が良く、また、鋳造性にすぐれる、⑤電気、熱をよく通す、⑥非磁性である、⑦表面が美しい(鏡面となる、アルマイト処理が可能)、⑧リサイクル性にすぐれる、が挙げられます。

表面処理は一般的に、陽極酸化(アルマイト処理)、メッキ、PVD、化成被膜処理、機械研磨、電解研磨、化学研磨、エッチングなどが挙げられます。アルファメックでは、アルミニウムに対してダブルジンケート処理を行い、各種無電解ニッケルメッキ・硬質クロムメッキ・銅メッキ・電気ニッケルメッキなどでアルミニウムに無い新たな機能を付加致します。

アルマイト処理とメッキ処理の違い

アルミニウムは優れた自然酸化被膜を形成しますが非常に薄いため(20㎚程度)、環境によっては腐食を起こすことがあります。しかしながら、アルマイトやメッキによってアルミニウムの特性を活かしながら弱点をカバーすることが可能となります。

アルマイトとは、一般的に硫酸浴などの溶液中で陽極電解を行い、人工的に酸化被膜を形成する技術のことをいいます。アルマイトによって、耐食性の向上、耐摩耗性の向上の他に、着色やその他機能の付加が可能となります。アルマイト被膜の厚さは、電気量と時間に比例して大きくなります。素材そのものを電解するため、寸法精度が求められる製品は不向きです。

メッキ処理とは、アルミニウム上に別の金属を被覆させることをいいます。アルミニウムはイオン化傾向の非常に高い金属であるため、鉄鋼などと同様の方法では自然酸化被膜が邪魔をして密着性の良いメッキ被膜を得ることが出来ません。そのため、ダブルジンケート処理をメッキ処理の前に行います。ダブルジンケート処理とは、アルミニウムの表面に薄い亜鉛皮膜を置換させることでその上にメッキ被膜を得られるようにする処理のことをいいます。これによって、精度が求められる部品への無電解ニッケルメッキや、耐摩耗性が求められる部品への硬質クロムメッキなどが可能となり、部品設計に幅広い選択肢を持てるようになります。ただし、アルマイト処理と比較してメッキ処理は費用が高くなります。

ダブルジンケート処理工程

(1) 脱脂

アルミニウム合金表面に付着した油分を、アルミニウム合金自身を傷めることなく除去する必要があります。リン酸塩と界面活性剤をベースとしたアルカリ脱脂剤を使用します。
アルミニウム合金は、pHが4~9を外れると容易にイオン化するため高アルカリ系脱脂剤の使用は避ける必要があります。

(2) エッチング(酸化被膜除去)

水酸化ナトリウムをベースとした高アルカリ溶液で、アルミニウム合金上に形成された酸化被膜を除去します。その際、アルミニウム材も一緒にエッチングされます。

【反応式】
Al+NaOH+H2O → NaAlO2 + 3/2H2

(3) ディスマット(スマット除去)

エッチング時に生じたスマットを硝酸及びフッ化物を混合した溶液で除去します。スマットとは、アルミニウム合金中に含まれている水酸化アルミニウム{Al(OH)3}不純物(シリカ、マグネシウムなど)をいいます。

【反応式】
Al(OH)3 + 3HNO3 → Al(NO3)3 + 3H2O
8Al + 6HNO3 + 24HF → 8AlF3(スラッジ要因) + 15H2O + 3N2O↑
MgO + 2HF → MgF2(スラッジ要因) + H2O
SiO2 + 6HF → H2SiF6(加水分解) + 2H2O

(4) ダブルジンケート(亜鉛置換)

亜鉛をアルミニウム合金表面に置換させ、メッキ可能な亜鉛皮膜を形成させます。一回の亜鉛置換だけでは亜鉛粒子が大きい状態であるため良好なメッキ被膜を得ることが出来ません。その理由は、アルミニウム合金表面にある酸化被膜の影響で、アルミニウム合金の妖怪開始に部分的差異が生じ、水素が集中的に発生することで亜鉛置換されない部位が出来るためです。その亜鉛置換された被膜を硝酸で剥離することで、酸化被膜が亜鉛を含有することで、自然形成される酸化被膜よりも脆弱な被膜が形成されます。第二亜鉛置換の際には、その脆弱な被膜が速やかに全面反応を開始されます。このように、二回亜鉛置換を行うことで緻密で良好な亜鉛皮膜を得ることが出来ます。

(5) メッキ(無電解ニッケル・リンメッキ)

アルミニウム合金上に亜鉛皮膜が形成されると、いよいよメッキが可能となります。電気ニッケルメッキや電気銅メッキが一般的には選択されますが、アルファメックでは複雑な形状に均一なメッキ被膜を形成することが可能な無電解ニッケル・リンメッキを採用しております。
ダブルジンケートにより形成された亜鉛皮膜を、無電解ニッケルメッキ液中でニッケルに置換させ、置換させたニッケルを触媒としてメッキ反応が起こっていきます。

【反応式】
◎ニッケル置換反応
・亜鉛の溶解:2Zn + 2H+ → 2e + H2↑ + 2Zn++(コンタミ成分)
・ニッケルの析出:Ni++ + 2e → Ni

◎ニッケル触媒反応
・次亜リン酸の還元反応:
[H2PO2] → [PO2] + 2H(Cat)
[PO2] + H2O → [H2PO3](コンタミ成分)

・ニッケルの析出反応:
2H(Cat) + Ni++ → Ni + 2H+
2H(Cat) + H2

・リンの析出反応
H(Cat) + [H2PO2] → P + OH + H2O

(6) 積層技術

アルファメックでは、無電解ニッケル・リンメッキをベースとした各種メッキラインナップへの積層技術を保有しております。例として、硬質クロムメッキを無電解ニッケル・リンメッキに積層させることで、硬質クロムメッキが入らない部分の耐食性を無電解ニッケル・リンメッキ層が保持することが可能となります。また、異種金属間結合の際ネックとなるアルミニウムが電蝕を起こしてしまう問題に対しても、ニッケル層が間に入ることにより解決することが可能となります。軽金属であるアルミニウムに、さらなる機能付加をアルファメックの技術でご提案いたします。

アルミニウム表面処理の目的と役割

目的・効果 役割・機能 対象となる表面処理技術
対象となる表面処理技術 外観改善(汚染傷他) 溶剤脱脂、アルカリ・酸脱脂、電解脱脂、エッチング(化学、電解、ドライ)
内容物への汚染防止
溶接接合の前処理
表面処理の前処理
外観効果(デザイン・標示) 着色 陽極酸化(染色、電解着色、自然発色)、塗装、ほうろう、化成被膜、メッキ、PVD
光輝化 化学研磨、電解研磨、機械研磨
艶消(マット) エッチング、機械表面加工
模様づけ 機械加工(エンボス)、印刷、エッチング
標示(文字づけ) 印刷(アルマイト・フォトレジスト、オフセット)
化学的機能付与・向上効果
(耐食性、耐候性、耐光性など)
外観の維持 陽極酸化、塗装、化学被膜
製品機能(強度等)の体か・破壊の防止
内容物の汚染防止
物理的機能付与・向上効果 表面硬さ・耐摩耗性の向上 陽極酸化(硬質皮膜)、メッキ(硬質クロム)、PVD
電気絶縁・耐電圧機能付与 陽極酸化、PVD
表面導電性向上 メッキ(銅、銀メッキ)、PVD
静電容量機能 エッチング・陽極酸化、PVD
熱反射向上 化学研磨、電解研磨
熱吸収向上 陽極酸化(電解着色等)、メッキ(ブラック・クロム、黒色無電解ニッケル)、塗装、PVD
潤滑機能付与 化成被膜(鍛造加工用潤滑)
離型性向上 塗装(フッ素樹脂塗装)、イオン注入
接着性向上 化成被膜、陽極酸化
表面ぬれ向上 化成被膜、塗装
磁性付与 化学研磨、電解研磨、PVD
感光機能付与 PVD、CVD、塗装

各種アルミニウム合金の表面処理適応性

合金 電解研磨 化成被膜 陽極酸化処理 メッキ ほうろう 塗装
化学研磨 防食 装飾(着色)
1090
1080
1050
1100
2011 × ×
2014 × ×
2017 × ×
2024 × ×
3003
3004
4043 × ×
5005
5052
5056 ×
5083 ×
5N01
6061 ×
6063 ×
7075 ×

注)◎最適、〇適当、△使用する場合、処理条件の検討が必要、×不適当

参考文献
1.里達雄:技術大全シリーズ アルミニウム大全
2.日本カニゼン社:カニゼン技術レポート 第9回 アルミニウム合金へのめっき前処理について


お問合
わせ