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ベルサイユのばらを31歳のおっさんが読破

ベルサイユのばらとは、集英社のマーガレットコミックスで発売されている、少女漫画の金字塔で有名ですが、31歳のおっさんが読破しました。まさに読破という単語のチョイスが一番正しいと思います。自分の固定概念を、少女漫画を読むことで破り捨てたのです。

ベルサイユのばらが長年にわたり愛され、優れていると評価される理由は様々あるかと思います。私が思いつく限り語りたいと思います。

1.フランス革命がタイムラインとしてあること

「フランス革命」と聞いたら、学校に通ったことがある人であれば「マリー・アントワネットとルイ16世が市民に処刑される」と連想出来るでしょう。しかし、誰もが結末を知っているのに読みたくなる、続きが気になるというのがベルサイユのばらの魅力なのです。どうなったかは知ったうえで、どうしてそうなったかを追う、このことが物語に緊張感をもたらしていると言えます。全然ジャンルは違いますが、ドラえもんが最初から壊れる結末をもってして生まれた漫画だったらもう少しドラマティックになったかもしれません。しかし、いつまでもアイディアが続く限り物語が生み出されることが読者の求める漫画の形であった以上、ドラマティック性は必要なかったとも言えます。

2.叶わぬ恋がテーマとしてあること

恋愛がドラマティックになる要素として、「叶わぬ恋」があります。物語がドラマティックになるためには、恋路に障害がなければなりません。古くはシェイクスピアのロミオとジュリエットで描かれた、家同士の対立に巻き込まれた若い二人の悲恋がありますが、ベルサイユのばらはフランス革命をテーマとして扱っていて、身分の違いがあれば一緒になれないという不文律が幾度となく描かれています。いくら好き合っていても許されないならば、死んでしか一緒になれないという思考回路に陥ってしまうほど・・・。そして、フランス革命があたかも叶わぬ恋を叶えたい民衆と、貴族のせいで起こってしまったような錯覚さえ起こさせる熱量を帯びているのです。

3.主役がマリー・アントワネットからオスカルへと変わっていったこと

劇中に出てくるオスカルは、この漫画を読んだことが無い人でも知っているほど有名なキャラクター。機動戦士ガンダムで言えばシャア・アズナブルぐらいの人気者です。彼女がいなければ、漫画で分かる世界史・中世ヨーロッパ編になるだけで、いくらマリー・アントワネットが魅力的な女性であったとは言え、こんなにも名作には出来なかったでしょう。漫画で一番重要な点は、誰の視点で物語が進んでいくかです。貴族社会を紹介する序章ではマリー・アントワネットが主役でしたが、中盤以降は近衛隊の隊長としてルイ16世に忠誠を誓ったオスカル、そして革命の渦の中で自分が置かれる特権階級と、職務を通じて理解し始めた第三身分(平民)との格差を知ることで揺れ動き、そして男として生涯を全うすると決めていた心にも女心を知り揺れ動くという、まさにフランス革命を体感し実践する媒体としても唯一無二の存在感を放ちながら演じていたことが物語を究極の漫画に押し上げたのです。

ここまで熱く語ることになるとは、このブログを書き出した時点では想像も出来ませんでした。しかし、31歳にして読んでよかった。たぶん10代中ごろで読んでいてもそこまで感銘を受けていなかったはずです。

ある程度古い作品で、かなり有名なものを読むとどこかで読んだことがあると思う場面が多くあるのですが、それは間違いで、ほとんどがそれを真似して描かれたものだということに気付かされます。国語の授業で言えば古典を読むのと同じで、オリジナルには真似していない分荒削りながら、たくさんの人に衝撃を与えたパワーがあるなとつくづく感じます。

ま、もし気になるのであればベルサイユのばら、読んでみてください。

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