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ラーメン屋のチェーン展開に思うこと

ラーメンが好きです。子供のころ初めて食べた時、これを毎日食べ続けたいと本気で思ったぐらいです。しかし、30歳を過ぎた今、飲んだ後食べると確実に次の日に影響が出るためかなり控えているのが現状です。ただ、1000円までで楽しめるB級グルメとしては地域性や独自性があって結構な頻度で食べ歩いています。

ラーメンはいつしか中華料理から日本の国民食のような地位になり、海外観光客が有名店に行列を作るようになっています。よく肥えた欧米人がラーメン屋に並んでる姿をみて、感慨深い気持ちになります。ジャンクフードのような捉え方をされているかもしれませんが、最早芸術の域まで仕上げられたこだわりの一杯を作っている店も多く見受けられます。

例えば、何の変哲もない鶏ガラの醤油ラーメンを突き詰めて、こんな味今までなかったと思わせるラーメン屋が大阪市西区にはあります。少し前に流行った煮干しを使っているのですが、煮干しから出てくる苦味がなく、本当に丁寧に作っているなという印象でした。また、麺も自家製でこだわっていて、もちもちでコシがあってスープにめちゃくちゃあうんです。

そんな美味しいお店だったのですが、初めて行ってから3年後に再び並んで食べに行ったところ、味が変わっていました。ラーメンの種類は同じなのですが、どことなく味が薄くなっているんです。醤油の味が薄いというわけではなく、完全に出汁が薄くなってしまっていました。私はもう二度とここに来ることは無いなと思い、哀しい気持ちで胸がいっぱいになっているところ、お店の中でその原因を見つけることが出来ました。

「〇〇店オープン」

そうか!そうだったのか!!私は妙に納得しました。

全ての店に通じることではないのですが、美味しいラーメン屋が売り上げを伸ばし、口コミで有名になるとネットやラーメン雑誌などメディアで取り上げられ始めて加速度的に来客数が増えていきます。こうなるとあとは簡単で、チェーン展開しようということになり、通常店を任せられるスタッフを置いて店長自ら二店舗目に立ちます。

私は常々、外食産業に携わる者は皆、売り上げ拡大のためにチェーン店化を進めることを目標にするものということは当たり前であり、夢だと思います。ただ、味を守るという一点に置いては万全を期してほしいのです。

よくラーメン屋で素人が修行して店長からボロカスに罵倒されるテレビ番組がありますが、まさにあの通りだと思います。同じ材料を同じ作り方でやってるのにどうして同じ味にならないのか。この疑問は、メッキとまさしく同じです。条件を揃えてみても、素人工がやると不良率が高いという問題が出たりします。実際、料理もメッキも一たび作業に落とし込むとそこから先はひたすら同じことを繰り返すことになります。同じことを繰り返すのですが、どちらも「結果を同じようにする」という点で同じことを繰り返すのです。食材や、気候など毎日変化することはあります。それを見抜いて対処できるかどうかが料理人やメッキ職人と素人の違いだなと改めて感じます。

「ここのラーメン屋、美味しくなくなった。」

そう思われても、一度有名になって食べログで高得点をとった店はなかなか評価が下がりません。悔しいかな、次から次にリピーターではなく初めて来店する客が食べて「普通より」美味しい美味しいと喜んで帰ります。私は、そういうラーメン屋に二度と行かないことで、小さな抵抗をしていこうと思うのでした。

※名誉のため例に挙げたラーメン屋の名前は伏せさせて頂きます。

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