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建機と腐食

建設機械を販売する仕事に携わっていたことがあり、色んな現場でお客様の悩みを聞く機会がありました。中でもよく耳にしたのが「腐食について」でした。メッキ業界に飛び込む前だったので、的を射た受け答えが出来ず歯がゆい思いをしたことがあります。

建設機械が腐食するといっても、土木作業現場で放っておいてもすぐに錆びません。一番よく錆びるのはバケットのような、土や岩に当たって塗装がすぐ剥げるパーツです。また、よくキャブのドアが錆びると言われました。キャブのドアをオペレーターの方が安全靴で蹴ってしまい、塗装が剥げた所から腐食が始まるようなので、対策としてステンレス鋼板を張り付けたりしていました。

腐食させたくない場所にステンレス鋼を使って対策している場合もありましたが、ステンレス鋼を使ったがために繋ぎ止めていたブラケットやボルトが腐食してしまう場合がありました。これは、ガルバニック腐食と呼ばれるもので、ステンレス鋼と鉄鋼の電位差によって鉄鋼が水などの電解質が触れた部分で酸化されてしまうため起こる現象です。電位的に卑な金属部分は塗装して保護する必要があるということです。

他にも、港湾周辺では塩害で困っているお客様も多くいらっしゃいました。一度、工業塩を船のハッチの中で掻き出す重機のボルトがステンレス鋼なのに頭は錆びずに中だけ錆びてしまって仕方がないという悩みを聞きに行ったことがあります。

実は、ステンレス鋼が錆びないというのは大きな誤解で、ステンレス鋼は塩素系の環境下に置かれた場合や、酸化皮膜を形成できない場合に鉄鋼と同じように腐食されてしまいます。この場合、ステンレス鋼のボルトで隙間腐食が起こったと考えられます。隙間に塩化物が蓄積され、酸化皮膜が形成出来なくなり腐食が起こるというメカニズムです。高クロム鋼やチタンのボルトを使用する必要があります。

建機を錆びさせないために出来ること。

・塗装が剥げない様にする

・塗装が剥げてもキズが付かない様にする

・電位差の大きい金属を組み合わせるときは塗装をしっかりする

・水で濡れたままにしない様にする

・定期的に清掃して傷を見つける

お金を掛ければ腐食は防げますが、知恵があればコストも下げられます。お近くのディーラーまでご相談してみてください。

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